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65歳定年延長・継続雇用義務化の対応

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

65歳定年延長・継続雇用義務化の対応
【2005年8月】


2006(平成18)年4月から定年延長が義務付けられると聞いています。私のところは、59歳の看護師が1人いますが定年を延ばさなければいけないのでしょうか。


確かに改正高年齢者雇用安定法において2006(平成18)年4月1日以降、年金支給開始年齢にあわせて65歳までの定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講じなければならなくなりました。定年を延長するのが一番良いのですがよく読むと「定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講じなければなりません。」とされています。本人が希望すれば全員を引き続き雇用しなければならないというものではありません。


それでは、本人は来年の10月に60歳になりますが、定年で退職してもいいのでしょうか。


60歳で定年を理由に退職させたとしても直ちに無効ということにはなりません。60歳以降も引き続き雇用する制度を導入されていることが大切です。


どういうことですか。


継続雇用制度が導入されているということは、希望者全員を60歳以降も引き続き雇用するということではありません。
基準を設けその基準を満たしたものを引き続き雇用すると言うことでもいいのです。


私が必要とするものという決め方でもいいのですか。


それはだめです。ただし、労使協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準を全員が対象でないようにもできます。たとえば、就業規則に次の内容を記載することです。

「従業員の定年は満60歳に達した年度の末日をもって退職とする。ただし、高年齢者雇用安定法に基づく労使協定の定めるところにより、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当するものについては、65歳まで再雇用する。
(1) 引き続き勤務することを希望していること。
(2) 無断欠勤が無いこと。
(3) 過去○年間の考課が○以上であること。」


いつから65歳に雇用延長するのですか。


2013(平成25)年4月1日までに引き上げていくことになります。スケジュールは以下のとおりです。

  • 2006(平成18)年4月1日から
     2007(平成19)年3月31日…62歳
  • 2007(平成19)年4月1日から
     2010(平成22)年3月31日…63歳
  • 2010(平成22)年4月1日から
     2013(平成25)年3月31日…64歳
  • 2013(平成25)年4月1日以降…65歳
    ところで先生のところにいらっしゃる59歳の方はどうされるのですか。


ベテラン看護師ですし引き続き働いてもらいたいのですが、本人が少しゆっくりしたいといっています。


それならば定年を65歳にして継続雇用制度奨励金を受けたらどうでしょうか。


どういうものですか。


現在55歳以上の人が1人でもいれば、10人未満の事業所の場合、定年を65歳に延長すると年間45万円の助成金が支給されます。翌年、定年を延長したお陰で60歳以上の人が1人でもいればまた45万円支給され、最高5年間支給されます。


正規職員として雇用しなくてもいいのですか。


そうです。20時間以上30時間未満のパートでもかまいません。もしパートになって60歳時点と比べ賃金が下がれば高年齢雇用継続給付金が本人に下がった額の最高15%支給されます。無論、老齢厚生年金との併給もできます。

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