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厚生年金の加入と受給資格―国民年金、払っていないけど大丈夫?

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

厚生年金の加入と受給資格―国民年金、払っていないけど大丈夫?
【2009年10月】


 医療法人にすることにし、私は理事長になります。その場合、厚生年金に加入しなくてはならないのでしょうか。

A
 そうですね。厚生年金は法人は強制加入ですし、先生は長時間働いているので厚生年金に加入しないというわけにはいきません。


 しかし、厚生年金に加入していない会社はたくさんありますよ。

A
 残念ながら、その通りです。全国的にも半数近くの法人が社会保険に未加入ですが、これは違法です。


 保険料はいくらぐらい支払うことになりますか。

A
 現在、標準報酬月額が62万円で頭打ちになっています。2009(平成21)年8月までは62万円の標準報酬月額に基づく保険料が最高額です。先生の場合、この最高額ですから厚生年金の保険料は月額4万7,585円です。これは個人負担分で、この額と同じ額だけ法人が負担します。


 合わせて9万5,000円以上ですか。厚生年金保険料はずいぶん高いのですね。

A
 職員も加入しますから、健康保険料も含めると人件費が12%から13%増えることになります。健康保険に加入せず、医師国保に加入しながら厚生年金に加入する方法もあるので検討してください。


 それから、私はこれまで国民年金の保険料を支払ってきませんでした。厚生年金は25年加入しなければならないとのことですが、私は現在55歳ですから、保険料は掛け捨てになってしまうのでしょうか。

A
 いえ、簡単にあきらめることはありません。先生はこれまで年金にまったく加入したことがないのですか。


 開業するまで5年ほど私立大学の付属病院と民間の病院に勤めていました。そのとき健康保険に加入していたから、厚生年金にも加入していたと思います。

A
 20歳以降の学生時代は何年くらいですか。


 2浪したので4年です。

A
 1991(平成3年)年までは、学生は国民年金への加入は任意でした。その期間は「カラ期間」、つまり期間にはカウントされますが年金額には反映しない期間です。大学卒業後はどうしていましたか。


 無給の医局員でした。

A
 結婚はされていましたか。


 結婚はしていませんが、当時看護師だった現在の妻と一緒に暮らしていました。

A
 奥さんは当時どこに勤めていましたか。


 国立病院に勤めていました。

A
 1986(昭和61)年までは配偶者が厚生年金なり共済年金に加入していれば、その期間は「カラ期間」です。それが事実婚と認められればその期間もカウントされます。また、国民年金は今は「滞納状態」です。60歳までは2年遡って加入でき、この期間もカウントされます。先生の場合、今からでも厚生年金に加入すれば十分年金の受給資格に結びつく可能性がありますし、年金は老齢年金だけでなく障害年金、遺族年金もありますから加入するメリットはあります。

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