奈良県保険医協会

メニュー

県医療政策部長らを招き、学習講演会を開催(2月23日)~地域医療構想と地域包括ケアを考える

 奈良県保険医協会は2月23日、奈良県社会保障推進協議会奈良自治体問題研究所の両団体との共催で、「奈良県の地域医療構想と地域包括ケア」をテーマに掲げた学習講演会を開催しました。講演会は2部構成で、第1部は「奈良県の医療の現状とこれから」と題して奈良県医療政策部の部長・林修一郎氏、第2部は「地域包括ケアシステム構築に向けた奈良市医師会の取り組み」と題して奈良市医師会の会長・谷掛駿介氏が、それぞれ講演しました。協会会員、医療関係者、市民ら約80人が参加しました。

 第1部では、林氏が奈良県が策定した地域医療構想について具体的に解説しました。その前に、地域医療構想の背景にあるものとして、自身が厚生労働省保険局医療課の一員としてかかわった2016年度診療報酬改定の特徴やねらいも概括して、都道府県に地域医療構想の策定をもとめる国の考えや政策的な方向性に言及。そのうえで、地域医療構想では急性期病床を減らすというイメージが先行しがちであるが、急性期の中に軽症患者も含まれており、病床の整理が必要であると述べました。そして奈良県においては、医師の「偏在」ではなく「散在」ではないのかと述べました。
 今後の病院は「断らない病院」「面倒見のいい病院」が大切であるとし、高度急性期を担う病院にある程度医師を集約化し、救急を断らないシステムを作り上げ、地域の中小病院では治療だけでなく介護も含めた生活援助まで行うような病院が理想的であるとしました。退院した患者が最期まで切れ目ないサービスを受けられるよう、奈良県としても支援していきたいと述べました。
 また、県の地域医療構想のもとで、各病院が自身の地域医療のなかでどのような位置を占めるのかを考えていくうえでの判断材料となる各種資料の提供などにも努める姿勢を強調しました。

 第2部では、高齢者を中心に在宅医療のニーズが大幅に拡大する見通しのなかで、それを支える「地域包括ケアシステムの構築」へ、奈良市医師会の取り組みについて谷掛氏が講演しました。市医師会として行政と連携しながら市民向けのシンポジウムや認知症支援チームの活動、多職種との連携強化へ共同の研修会、在宅医療医療機関マップの作成、地域包括ケアのまちづくりなどに取り組んでいることが紹介されました。

 講演を受けての質疑では、会場からは「専門用語が多くて少し難しい。奈良県は健康と言えるのか(一般市民)」「24時間在宅を一開業医が担うのは不可能。体力的に難しい。地域医療構想が本当に上手くいくか疑問、少し楽観的すぎないか(開業医)」などの質問や意見も相次いで出され、活発に意見が交わされました。

 奈良県保険医協会は今後も、地域医療構想や地域包括ケアについて、県民とともに考える機会をつくりたいと考えています。

(参考)
 奈良県地域医療構想は、奈良県のwebサイトのなかの、奈良県地域医療構想のページに、全文と関係資料が掲載されています。
 上記のリンク先が変更されている場合は、奈良県のホームページの検索窓に「奈良県地域医療構想」と入力して検索してみてください。

トピックス

さらに過去の記事を表示