奈良県保険医協会

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TPP交渉参加の意向に対し、抗議とともに断念もとめて首相へ緊急要請を送付:奈良県保険医協会

 奈良県保険医協会は3月1日、安倍晋三首相に対して下記の緊急要請をファクスで送りました。

2013年3月1日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
奈良県保険医協会
理事長 坪井裕志

TPP交渉参加の意向表明に抗議し、
交渉参加の断念を求めます

 貴職におかれましては、国政の重責を担っての日夜のご活躍に敬意を表します。
 私たち奈良県保険医協会は、おもに奈良県で開業・勤務する保険医1000人あまりで構成する団体です。保険医の経営と生活の守り、国民医療の向上を目指して活動しています。国民皆保険を守る立場から、我が国がTPP(環太平洋連携協定)に参加することに反対しています。

 貴職は2月22日、「日米首脳会談で、聖域なき関税撤廃が前提でないことが明らかになった」として、TPPの交渉参加に踏み出す意向を表明し、28日の施政方針演説で「今後、政府の責任において、交渉参加について判断」すると表明しました。
 私たちは、国民皆保険制度を守る立場から、TPP交渉参加の意向表明に抗議するとともに、改めてTPP交渉参加を断念するよう強く求めます。

 日米首脳会談後のTPPに関する日米共同声明では、冒頭で「日本がTPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、および、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する」としています。「TPPのアウトライン」では、関税と非関税障壁の撤廃が原則と明記しており、「聖域」など存在しない旨を確認したことにほかなりません。
 その上で、「両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていく」ことから、「交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することを予め約束することを求められるものではないことを確認する」としています。最終結果は交渉次第で、交渉参加の時点で全ての関税の撤廃を予め約束する必要はないということにすぎません。つまり、交渉の結果、「例外」品目が認められることは何も保証されていません。

 自民党が政権公約に掲げた「聖域なき関税撤廃を前提にする」ことにおいて、国民が関心を寄せている点は、農業・食の安全、公的医療保険など経済・生活に大きな影響のある項目を「聖域」として関税撤廃の対象から外せるかどうかにあります。共同声明は、全ては交渉次第であるとして、対象からの除外を確約していません。交渉参加へ踏み出す意向表明は、国民の関心・声に応えるものとは到底言えません。

 医療分野においては、これまでも、アメリカは、薬価決定過程への外資企業参加、新薬の特許保護期間の延長など薬価の更なる引き上げにつながる改革、外国事業者を含む営利企業による病院経営など、国民皆保険の形骸化にいたる制度「改正」を要求してきています。医療や国民生活に大きな影響を与えるTPP交渉参加は断じて許されません。
 地域で保険診療を担う医師、歯科医師で構成する当会は、政府に対して、国民皆保険医療を崩壊へと導くTPP参加を断念するよう強く要請します。

以上


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