奈良県保険医協会

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総選挙立候補予定者と懇談/協会役員

 奈良県保険医協会は総選挙を控えて、奈良県小選挙区の立候補予定者に対して「医療、社会保障等についての政見アンケート」を実施し、これとあわせて同じ対象者に懇談を求めていました。
 これは、地元選挙区で立候補表明された各位に、第一線の地域医療を担う開業医の団体として、当面する医療・社会保障の政策についての考えを伝え、一人でも多くの地元政治家に理解を広げ、一つでも多く現場の要望や考えを取り入れた政策立案と公約の作成に生かしてほしいという趣旨で、あわせて各位の考えを聞く場としても取り組んだものです。
 求めに応えて、1区・森岡正宏氏(自民)、3区・豆田よしのり氏(共産)、4区・大西孝典氏(民主)が協会役員と懇談しました。他の立候補予定者は、日程の調整がつかないなどで懇談の設定ができませんでした。
 懇談はそれぞれ、予め実施していた政見アンケートでの回答なども参考にしておこないました。

森岡正宏氏(1区・自民)
 森岡正宏氏との懇談は8月9日(日)午後、同氏の選挙事務所に協会役員が訪問しておこないました。協会から峯克彰理事長、市川篤・森本新一両副理事長らが訪問しました。
 森岡氏は、自民党候補ではあるが「後期高齢者医療制度の廃止」に賛成を表明していることから、協会の要望と一致、協会役員が謝辞とともに言及すると、同制度は小泉構造改革で実施されたが、財政面ばかりで生命がおろそかにされていると問題点をつきました。同時に、野党やマスコミ、関係団体の皆さんの対応として、法案が国会で審議・採決されるとき(2006年)は反対の声が弱く、実施されるとき(2008年)になって騒ぎ出したという面もどうかと思う、もっとしっかり反対されるべきだったと指摘しました。これには法案段階から、協会は一貫して行動していることを説明しました。
 オンライン請求義務化問題では、アンケートの「義務化をやめること」に反対の回答だったことについて、森岡氏はIT化・合理化はすすめるべきという考えだと説明しました。協会役員が高齢の開業医や零細で機械導入が困難なケースがあり廃業を考える医師もいることや、歯科でも多くの開業医が悩んでいることなどを紹介すると、義務化を無理矢理すすめることではなく柔軟に対応することは当然だとして、協会役員の意見に対し、よく理解できました、とのこと。
 このほか、療養病床削減問題、介護保険の問題、勤務医待遇改善の問題、自主共済の問題など多岐にわたって意見を交換しました。
 同氏は衆議院議員当時、厚生労働政務官を務めて厚生労働省とのパイプがあり、厚労分野の政策にも明るいこと、自身、ドイツやスウェーデンの視察により、介護保険や福祉のあり方について先進諸外国の実情も見た上で日本のあり方を考えていること、「中福祉・中負担」が適しているとの持論などをうかがいました。そして、「いずれも財源問題に帰着する。私は小泉改革は間違いだったとどこへ行っても言っている。日本のあり方が問われている」と強調しました。
 予定の1時間はあっという間に過ぎ「自民党を頼むよ」の一言を締めに、和やかに懇談を終えました。

豆田よしのり氏(3区・共産)
 豆田よしのり氏との懇談は8月6日(木)午前、同氏が協会を訪れておこないました。協会から森本副理事長らが出席しました。
 豆田氏は、共産党が擁立する県内3人の立候補予定者(同氏のほかに1区・井上良子氏、2区・西ふみ子氏)を代表して同党候補として懇談に応じたと、協会との懇談に臨む姿勢を述べ、同党の医療関係で掲げる政策の参考に同党開業医後援会が作成したパンフレットを持参しました。
 協会役員からは、共産党各予定候補のアンケートの回答や自由記述で受け取った意見は協会側の意見をよく取り入れてもらっていると評価したうえで、さらに現場の実情を知ってほしいと、保険でよい医療を提供することと経営の狭間で苦悩する歯科開業医の声などを紹介しました。
 さらに、改めて強調したい点として、(1)後期高齢者医療制度の廃止、(2)オンライン請求義務化の撤回、(3)自主共済の保険業法適用除外――について、それぞれ詳しく説明して理解を求めました。
 豆田氏は、民主党が政権をとったときの対応を問われて、「我々は、民主党の政権であっても県民が暮らしやすくなればよい」「前回の2005年の郵政総選挙のあと、ずいぶん国民のくらしが悪くなった。小泉氏(元首相)は国民生活や医療を破壊した。今度の選挙でその政治への審判をくだして退場してもらう」と考えを述べて、民主党政権がおそらくできるだろうが、閣内協力するには違いがありすぎるとし、民主党は財源問題で大企業に応分の負担を求めると言えないので、やがて消費税アップという流れが危惧されること、平和問題でも立場に違いがあるとしました。そのうえで、「よって、野党となるが『建設的な野党』となり、積極的に提案して行動する」と述べ、例として、後期高齢者医療制度の廃止や医療崩壊の原因となった削減された社会保障費の復元を求めることなどを挙げました。
 この他、平和問題にも言及、オバマ米国大統領の「核兵器のない世界」をめざすとのプラハでの演説も話題になりました。

大西孝典氏(4区・民主)
 大西孝典氏との懇談は8月13日(木)午前、同氏の選挙事務所に協会役員が訪問しておこないました。協会から峯理事長、胡内秀規理事らが訪問しました。
 大西氏のアンケート回答で、オンライン請求義務化問題で「義務化をやめること」に反対としていることについて問うと、他業種でもIT化がすすんでいること、法務局でも登記など電子化されている例を挙げて、合理化・IT化は世の中の流れでさけられないとの考えを述べました。これに対して、協会役員が、高齢の開業医がIT化への対応が困難な実情を診療所の体制や費用の面などから説明し、そうした医師が過疎地などの医療を担っている面もあり、医療崩壊を加速するなど一律義務化の問題点を詳しく述べると「高齢医師への配慮はよくわかる」「暫定的に移行期間を認めるなど条件をつけるべき」と一律の義務化の理解を示し、一般に大きな制度変更に対しては移行期間を置くことやすでにある人その世代一代は従来の方法を認めるなど柔軟な対応が必要とし、「義務化をやめること」については「そういう意味では条件付き賛成」との考えが聞かれました。
 消費税については、大西氏は「消費税は『4年間は上げない』としか言えない」とし、将来の財政を考えたとき、消費税の活用が課題となることを示唆しました。同時に将来引き上げるとなったとき品目別税率ということもありうるとの考えを示しました。協会側からは、団体として「医療機関に対する消費税のゼロ税率適用」を求めていることについて、社会保険医療で非課税としながら診療報酬には仕入れ等に見合うだけの反映がなされず、実際には最終消費者でない医療機関が損税を負担する事態となっていることを説明したところ、大西氏はこれには大きく納得し「よくわかりました」とのこと。
 さらに、助け合いの共済制度・休業保障制度が理不尽な規制を受けている自主共済問題も詳しく説明して理解を得ました。
 懇談に臨んだ協会役員の縁者が大西氏の同窓という話題もあって、初対面ながら和やかな雰囲気で予定の1時間があっという間でした。

 各位とも、選挙目前の忙しいなかで時間をさいて懇談に応じていただきました。厚く御礼申し上げます。


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