奈良県保険医協会

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「第45回総選挙に向けた医療、社会保障等についての政見アンケート」への補足意見(追加回答)をいただきました

【お断り】この記事は2008年11月15日時点のものです。

 来る衆議院選挙に向けて、奈良県保険医協会では、総選挙立候補予定者へ医療改革問題などに対する政見を問うアンケートを9月下旬から10月上旬にかけて行いました。趣旨と結果など詳しくは、10月17日掲載の記事をご覧ください。
 そのアンケートは、実施期間や結果発表のための紙面(=奈良保険医新聞)の都合上、後期高齢者医療制度やレセプトオンライン化など12の設問に対して「賛成」「反対」「その他」の選択式の回答のみでお願いしました。
 アンケートの実施後、解散・総選挙が当初の情勢より先送りになる見込みとなったため、各立候補予定者の社会保障全般に対する考えなどを、より詳しくお聞きできるよう記述回答での補足意見を改めてお願いすることにしました。
 具体的には、10月17日にアンケート結果の報告を郵送する際に、今回のアンケートの各設問についてのコメント・補足意見等、またはこれら関連事項の全般について最大2000字程度で、10月末日をめどに提出をよびかけました。当初のアンケートに回答のなかった方にも改めてお願いしました。
 寄せられた回答は、奈良保険医新聞第317号(2008年11月10日発行)の付録として掲載、発表しました。

寄せられた補足意見(追加回答)など

 以下に回答を紹介します。前述のアンケート結果を紹介した記事と併せてご覧ください。
 第1区井上良子馬淵澄夫森岡正宏
 第2区高市早苗滝実西ふみ子
 第3区豆田至功吉川政重
 第4区大西孝典田野瀬良太郎
※結果は選挙区別の氏名50音順で掲載しました。
※今回、改めての回答が無く、選択回答のアンケートの際にコメントをいただいていた方については、そのコメントを掲載しました。

【第1区】

井上良子いのうえ・よしこ(日本共産党)

 先頃、東京都で受け入れ病院を探すのに時間がかかり、妊婦が死亡という痛ましい出来事がありました。このようなことは、一昨年に奈良でも起きています。
 「なぜ繰り返されるのか」といういたたまれない気持ちでいっぱいです。こうした事態の原因は、医師・看護師不足があげられますが、このことは地方でも都市でも同様で、深刻な社会問題となっていることを示しています。このような事態は一刻も放置できない問題です。
 現在の医師や看護師の不足には様々な要因があげられますが、その根本には、政府・与党の社会保障切り捨て政治があります。
 国はこれまで、「医療費適正化」の名で医師数を抑制しつづけ、日本を世界でも異常な医師不足の国にしてきました。その上、診療報酬の大幅削減、「行革」の名による国公立病院の統廃合などを進め、また国の財政負担と大企業の保険料負担を減らすために、公的保険・公的医療を切り捨てる「構造改革」が進められました。その結果、地域の「医療崩壊」を加速していることも見過ごせません。 2002年に自公政権が強行した診療報酬「2.7%削減」は、160床規模の病院で年間1億円の赤字を発生させるなど、多くの病院を人員削減や病棟縮小に追い込みました。さらに、06年に強行された「3.16%削減」、長期入院やリハビリへの報酬削減は、保険医療に取り組むすべての医療機関に打撃を与え、勤務医の労働条件悪化、採算の低い診療科の廃止、中小病院の廃院を加速しています。
 「現在の医療政策が継続されれば、中小規模の民間病院はわが国では存在しえなくなる」という危惧の声も聞かれます。
 診療報酬の総額削減路線をあらため、高薬価や高額医療機器の実態にもメスを入れながら、医療の質と安全の向上、医療従事者の労働条件の改善、地域医療の支援など、必要な分野を増額する診療報酬の改革が必要です。
 「後期高齢者医療制度」が導入されましたが、保険料の年金からの天引き、受診者の年齢によって受けられる医療を差別するという信じがたい制度に、多くの国民は怒りをあらわにしています。
 日本共産党奈良県委員会が行っている「アンケートはがき」には、一日も早く「後期高齢者医療制度」を止めさせて欲しいという切実な声が多数寄せられています。
 私は、世界にも例のない年齢差別の医療制度に反対し、撤回・廃止すべきと考えています。日本共産党は、「後期高齢者医療制度」の実施を中止した上で、だれもが安心してかかれる医療制度にする改革案――(1) 窓口負担増をやめさせ、国際的にも異常に高い窓口負担を引き下げる、(2) 公的医療保険の解体を許さず、保険医療を拡充する、(3) 減らし続けた医療への国庫負担を計画的に元に戻し、保険料負担の軽減、医療保険財政の立て直しをはかる――を提案しています。
 日本の総医療費はGDPの8%、サミット参加7カ国で最下位です。政府が、国民の命と健康をまもる責任を果たし、高薬価や高額医療機器などにメスを入れながら、歳入・歳出の改革で財源を確保して、公的医療保障を拡充し、高齢化や医療技術の進歩にふさわしい規模に充実することは可能です。
 医療・社会保障の切り捨てを止めさせ、国民のいのち・暮らしを守ることを最優先させるため頑張ります。


馬淵澄夫まぶち・すみお(民主党)

【質問1 後期高齢者医療制度を廃止することについて】・・・賛成
 75歳という年齢で区切って、受けられる医療を制限するという制度のあり方そのものが問題である。同制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を回復させる。将来的には被用者保険と国民健康保険を順次統合し医療保険の一元化を実現させる。
【質問2 国の予算における社会保障費自然増の2,200億円削減の撤回について】・・・賛成
 毎年2200億円にのぼる社会保障費の削減が過剰な医療費圧縮を生み、他の先進国に類を見ない医療崩壊を招く一因となっており、撤回すべきである。
【質問3 医療費への国の負担を増やし、窓口負担を軽減することについて】・・・賛成
 医療費負担の拡大は、さらなる受診抑制を招くなど、国民の健康をないがしろにするものである。大胆な一般財源の投入が不可欠である。
【質問4 診療報酬のオンライン請求義務化をやめることについて】・・・賛成
 オンライン請求の一律義務化は、長年にわたり地域医療を支えてきた保険医療機関の存続や、医療の安全確保、良質な医療の提供にも大きな影響を及ぼすことになる。個々の医療機関の実情に応じた柔軟な対応が必要であり、一律にオンライン方式による診療報酬請求を義務化するべきではない。
【質問5 国の責任で医師、看護師を養成し増員することについて・・・賛成
 医療崩壊を食い止めるため、また、団塊世代の高齢化に伴い急増する医療需要に応え、医療の安全を向上させるために医師、看護師の質と数を拡充すべきである。
【質問6 療養病床の廃止・削減をやめることについて】・・・賛成
 療養病床を削減する介護療養病床再編計画を廃止し、将来にわたって必要な病床数を確保する。地域における各種病床間、施設間の連携を促進し、適切な医療・介護提供体制を再構築すべきである。
【質問7 歯科保健診療の範囲を縮小させず、適用範囲を広げていくことについて】・・・賛成
 患者の負担が増えれば、今以上に患者を歯科治療から遠ざけてしまうことは明らかである。必要な医療を誰もが受けられるという国民皆保険制度を守る意味からも保険診療の適用範囲は縮小させるべきではない。
【質問8 介護保険の国庫負担を増額し、介護報酬を引き上げる事について】・・・賛成
 民主党は良質な介護サービスを確保するため、認定事業者に対する介護報酬を加算し、介護労働者の賃金を月2万円引き上げることとしています。
【質問9 自主共済を保険業法の適用除外にすることについて】・・・賛成
 改正保険業法では、自主共済に対して保険会社の免許を取得するか、少額短期保険業者として登録するよう求めているが、自主共済について金融庁が何の対策案も示していない状況にあり、このままでは仲間うちでの助け合いで成り立っている多くの無認可共済の廃業が避けられない。これを回避するため、3月31日の経過期間の満了を前に、経過措置を1年延長する法案を民主党は提出している。
【質問10 医療をはじめとする生活必需品へのゼロ税率を適用し、消費税を完全非課税とすることについて】・・・その他
コメント:食品や医薬品への非課税は検討に値する。
【質問11 社会保障の財源として消費税率を引き上げることについて】・・・その他
 一般財源化した道路特定財源、その他徹底的な無駄づかいの排除で財源を捻出する。その上でなお財源が不足するのであれば消費税率を検討する。


森岡正宏もりおか・まさひろ(自由民主党の予定)

 (註:追加のご意見はいただいておりません。)


【第2区】

高市早苗たかいち・さなえ(自由民主党)

【質問1 後期高齢者医療制度を廃止することについて】・・・反対
 長寿医療制度は、持続可能な医療保険制度構築のため、高齢者医療費を国民全員で公平に支える仕組みとして、長年にわたる議論の末に制度化されたものである。廃止には反対だが、改善は進めるべきだと考えている。高齢者のお気持ちへの配慮が足りなかった点や説明不足については、大いに反省し、お詫びをしているところだ。
 様々なご意見を踏まえ、既に実施している70歳代前半の医療費自己負担増の凍結や被用者保険の被扶養者の保険料負担の軽減に加えて、低所得者の保険料負担の軽減、保険料の口座振替による納付の拡充などの改善を実現。法律に規定する5年後の見直しを前倒しし、引き続き1年を目途に議論を重ねている。
【質問2 国の予算における社会保障費自然増の2,200億円削減の撤回について】・・・賛成
 社会保障費自然増の2,200億円削減は景気安定が実感されていた時期に導入されたものであり、一層厳しさを増すであろう景況感を考えると、今後も同様の削減を堅持することについては困難だと考える。
 社会保障制度は国民の暮らしを支えるセーフティーネットとしての役割を有している。給付の合理化・効率化を進めること、基金運用利回り向上のための景気対策、安定的財源を検討することが重要だ。
【質問3 医療費への国の負担を増やし、窓口負担を軽減することについて】・・・その他
 国民の安心の基盤である国民皆保険制度の維持が大前提。給付の合理化や効率化、予防医療推進等を行いつつ、なお対応しきれない負担増については、安定財源確保とともに軽減の方法を考える。
【質問3(1)70~74歳の高齢者の一割負担を継続することについて】・・・賛成
 私も制度開始前の段階で、激変緩和策として一割負担への軽減策を自由民主党総務会にて強く提言した経緯があり、賛成。既に「安心実現のための緊急総合対策」(平成20年8月29日)に盛り込まれ、財源も確保済だ。来年度も継続予定である。
【質問3(2)就学前までの子どもは無料とすることについて】・・・その他
 ご提案については、現時点では財源確保の課題があり、それが可能であれば大いに賛成。尚、平成18年度の医療制度改革において、「自己負担割合2割の対象年齢の義務教育就学前まで拡大」(3歳未満→義務教育就学前 H20年度~)の措置を講じているところだ。
【質問4 診療報酬のオンライン請求義務化をやめることについて】・・・その他
 小規模医療機関については、最長で平成25年度までの猶予期間があり、代行請求も認めているので、準備期間の状況を見極めつつ、改善すべき点があれば、改善する。
【質問5 国の責任で医師、看護師を養成し増員することについて】・・・賛成
 現在、「医学部の医師養成数を過去最大級まで増員」する予定である。総理指示に基づく「5つの安心プラン(平成20年7月)」をはじめ「安心と希望の医療確保ビジョン平成20年6月)」等の前倒しを通じ、健康に心配があれば誰もが医療を受けられる社会を実現するため、予算を十分に確保し、着実に実施しているところだ。更に、「在宅医療推進」「医療者と患者・家族の協働」など、現行の仕組みにとらわれない施策を通じて、医師・看護師の負担の軽減も推進したい。
【質問6 療養病床の廃止・削減をやめることについて】・・・その他
 この度の療養病床の再編成は、平成24年度までの猶予を取っている。患者の皆様を入院のまま介護保険施設等に転院していただくものであり、療養病床から追い出すものではない。また、受け皿の中心として、夜間の看護体制や看取りへの対応体制が整った「介護療養型老人保健施設」が創設されており、その充実を急ぐべきだと考える。
 現在の療養病床には、医療機関で対応すべき方と介護保険施設等で対応すべき方が混在しており、機能やサービスの在り方に混乱が見られる。また、家庭や福祉施設での受け皿が欠乏しているため、本来、要介護な方が入院する「社会的入院」が問題となっており、ご本人の生活の質の向上のために、より適切な施設・適切なサービスの提供体制を整えるべきだ。
【質問7 歯科保健診療の範囲を縮小させず、適用範囲を広げていくことについて】・・・賛成
 予防歯科、審美歯科、矯正歯科、歯科整形など、歯科医療に関する技術の高度化は目覚ましく、患者の皆様の受診目的も、様々な分野に広がっている。
 保険診療の範囲を時宜にあった形に設定することは大変重要であり、適切な範囲設定を心がけるべきだ。尚、平成20年度歯科診療報酬改定においても6つの新技術を保険導入したほか、矯正治療の保険適用範囲拡大を行っている。
【質問8 介護保険の国庫負担を増額し、介護報酬を引き上げる事について】・・・賛成
 平成21年の介護報酬改定にて、質の高い介護サービスの安定的な供給を図るため、適切な介護報酬の設定を行うべきだ。
【質問9 自主共済を保険業法の適用除外にすることについて】・・・反対
 相互扶助的な福祉増進目的の自主共済を保険業法の適応除外項目に記載する議論については、承知している。自主共済の中には多様な団体が含まれており、契約者保護の観点等から慎重に検討すべきだと考える。
【質問10 医療をはじめとする生活必需品へのゼロ税率を適用し、消費税を完全非課税とすることについて】・・・その他
 税体系の抜本的改革の議論において、総合的に検討すべき問題である。
【質問11 社会保障の財源として消費税率を引き上げることについて】・・・その他
 経済成長率が低迷したまま消費税率を引き上げると、消費が冷え込み、日本経済に壊滅的ダメージを与えることから、先ずは景気回復に注力した上で、直間比率是正も含めて消費税率の変更を検討すべきだと考えている。社会保障財源としての税率アップの是非も含めて、税体系の抜本的改革の議論において、総合的に検討すべき問題だ。
【質問12 戦力不保持を定めた憲法9条を堅持することについて】・・・反対
 9条に限らず、日本国憲法改正は必要だと考えている。特に9条については、表現が分かりにくく、解釈が分かれてきたところだ。
 例えば1項については、「侵略やテロにも対応できない」と解釈する論者も多く、表現を明確にすべきである。国家の生存を確保する自然権として全ての国が有する「自衛権」について、曖昧な条文のまま放置してはならない。加えて、文民統制の根拠条文を9条に置くべきだと考える。


滝 実たき・まこと(民主党)

 (註:追加のご意見はいただいておりません。)


西ふみ子にし・ふみこ(日本共産党)

 「後期高齢者医療制度」が導入されましたが、保険料の年金からの天引き、受診者の年齢によって受けられる医療を差別するという信じがたい制度に、多くの国民は怒りをあらわにしています。
 日本共産党奈良県委員会が行っている「アンケートはがき」には、一日も早く「後期高齢者医療制度」を止めさせて欲しいという切実な声が多数寄せられています。
 私は、世界にも例のない年齢差別の医療制度に反対し、撤回・廃止すべきと考えています。日本共産党は、「後期高齢者医療制度」の実施を中止した上で、だれもが安心してかかれる医療制度にする改革案――(1) 窓口負担増をやめさせ、国際的にも異常に高い窓口負担を引き下げる、(2) 公的医療保険の解体を許さず、保険医療を拡充する、(3) 減らし続けた医療への国庫負担を計画的に元に戻し、保険料負担の軽減、医療保険財政の立て直しをはかる――を提案しています。
 日本の総医療費はGDPの8%、サミット参加7カ国で最下位です。政府が、国民の命と健康をまもる責任を果たし、高薬価や高額医療機器などにメスを入れながら、歳入・歳出の改革で財源を確保して、公的医療保障を拡充し、高齢化や医療技術の進歩にふさわしい規模に充実することは可能です。
 小泉内閣以来、社会保障予算の自然増さえ認めず、2002年度には3000億円、03~07年度までは毎年2200億円ずつ削減し、すでに年間1兆4000億円が削減されました。その結果、医療、年金、介護など社会保障のあらゆる分野で、負担増と給付削減が押し付けられ、社会保障から排除される多くの人々を生み出し、国民のくらしを圧迫し、不安を広げています。こんなやり方はもう限界です。高齢者や低所得者を差別・排除してゆく医療政策は、破たんとゆきづまりに直面しています。広範な国民の世論と運動を結集して「後期高齢者医療制度」を実施中止に追いこみ、国民の健康と命がまもられる新しい政治が求められています。
 先頃、東京都で起きた妊婦の死亡という痛ましい出来事は、つい一昨年に奈良でも起きています。地方でも都市でも、医師・看護師不足が重大な社会問題となって、深刻な結果を生じさせていることは一刻も放置できない問題です。
 今日の医師不足には様々な要因がありますが、そのおおもとには、政府・与党の社会保障切り捨て政治があります。政府は「医療費適正化」の名で医師数を抑制しつづけ、日本を世界でも異常な医師不足の国にしてきました。また、診療報酬の大幅削減、「行革」の名による国公立病院の統廃合など、国の財政負担と大企業の保険料負担を減らすために公的保険・公的医療を切り捨てる「構造改革」が、地域の「医療崩壊」を加速しています。
 2002年に自公政権が強行した診療報酬「2.7%削減」は、160床規模の病院で年間1億円の赤字を発生させるなど、多くの病院を人員削減や病棟縮小に追い込みました。さらに、06年に強行された「3.16%削減」、長期入院やリハビリへの報酬削減は、保険医療に取り組むすべての医療機関に打撃を与え、勤務医の労働条件悪化、採算の低い診療科の廃止、中小病院の廃院を加速しています。
 「現在の医療政策が継続されれば、中小規模の民間病院はわが国では存在しえなくなる」という危惧の声も聞かれます。
 診療報酬の総額削減路線をあらため、高薬価や高額医療機器の実態にもメスを入れつつ、医療の質と安全の向上、医療従事者の労働条件の改善、地域医療の支援など、必要な分野を増額する診療報酬の改革が必要です。
 医療・社会保障の切り捨て政治から、国民のいのち・暮らしを守ることを最優先する政治に転換させるために頑張ります。


【第3区】

奥野信亮おくの・しんすけ(自由民主党)

 Yes,Noで答えるべきでない「問い」が多い。
 (註:先の選択回答方式のアンケートに対して欄外にコメントとして添えられていたご意見です。他に追加のご意見はいただいておりません。)


豆田至功まめだ・よしのり(日本共産党)

 貧困と格差が拡大するなか、憲法25条が保障した国民の生存権をまもる社会保障の役割はきわめて大きくなっています。ところが、自民・公明政権は、「自助努力」「自己責任」ばかりを強調し、社会保障にたいする国の責任を投げ捨て、あらゆる分野で制度の改悪をすすめてきました。さらに、小泉内閣以後、社会保障予算の自然増を毎年削減してゆく路線が、日本経団連など財界の号令によって決められ、毎年、「2200億円削減」という“ノルマ”を達成するために、年金・医療・介護・福祉が切りすてられる異常な政治がつづいています。
 そのために、日本の社会保障制度は、国民のくらしをささえるという本来の機能を大きく失い、生活苦や将来不安を増大させる大きな要因になっています。
 医療では、生活困窮者からの国保証とりあげが横行し、受診抑制による重症化や死亡事件が各地で発生しています。介護保険でも、在宅サービスの切り捨て、施設利用料の値上げ、療養病床の削減などにより、まともにサービスが受けられない「介護難民」が急増しています。国民年金の保険料は、実質納付率でみると過半数が払えておらず、高すぎる保険料ときびしすぎる受給資格要件のために、膨大な無年金・低額年金者が生まれかねない状況です。生活保護では、保護申請を門前払いしたり、無理やり保護を「辞退」させる非情な行政が横行し、保護を打ち切られた人の餓死や孤独死が続発しています。もっとも支援を必要とする低所得者が真っ先に制度から「排除」され、社会保障が貧困と格差を是正するどころか、逆に拡大する事態が生まれているのです。
 国民生活の土台をささえ、ほんとうに安心できる社会とするには、社会保障削減路線をやめ、拡充へと舵を切りかえることが必要です。日本共産党は、その第一歩として、削減されてきた1兆6200億円の社会保障予算(2002年度:3000億円、2003~08年度:2200億円)を復活させ、以下の6つの緊急対策をおこないます。
 (1)後期高齢者医療制度を廃止する
 (2)国保料(税)をひとり1万円引き下げる
 (3)年金、生活保護、児童扶養手当などの水準を物価高騰に応じて引き上げる
 (4)国の制度として、子どもの医療費無料化制度をつくる
 (5)介護保険の保険料、利用料の減免制度をつくり、介護労働者の労働条件を改善する
 (6)障害者福祉の「応益負担」を廃止し、福祉労働者の労働条件を改善する
 自公政権や財界は、社会保障給付を「過大」だとし、これ以上、社会保障への財政支出は増やせないといって、負担増・給付減を正当化しています。しかし、わが国の高齢化率はすでにヨーロッパ諸国にくらべて高い水準になっているのに、日本の社会保障給付費はGDP(国内総生産)の17.5%――イギリス(22.4%)、ドイツ(28.8%)、フランス(28.5%)などより大きく立ち遅れた水準にとどまっています。日本共産党は、「健康で文化的な最低限度の生活」をすべての国民に保障した憲法25条の立場で、だれもが安心でき、将来に希望のもてる社会保障制度の確立をすすめます。その財源は、国の歳出の浪費の見直しと、応能負担の原則にたった税制・社会保険料の改革によって確保します。そうしてこそ、国民のくらしと経済も元気をとりもどし、持続可能なものになっていきます。
 また、憲法9条を堅持することは、世界と日本の平和を守るうえでもっとも重要な課題の一つです。
 改憲勢力は、憲法のなかに「国際貢献」を書き込めということを主張しますが、憲法九条の改定とは、世界平和への貢献どころか、日本を米国とともに無法な戦争にのりだす国に転落させ、日本がアジアと世界にとって重大な軍事的緊張と危険をつくりだす根源の国となることを意味します。それが世界の大きな流れに逆らうものであることは、あまりにも明らかです。
 戦後、日本国民は、憲法九条がつくられたさい、二度と戦争をする国にはならないという決意とともに、国連憲章が理想として掲げている「戦争のない国際秩序」を築くうえで日本が先駆的役割を発揮しようという決意をこめました。21世紀をむかえたいま、この憲法九条の理想に、国際政治の現実が大きく接近してきています。いま世界では、憲法九条が21世紀の人類の進路をてらす先駆的条項として、新鮮な注目が広がっていますが、それは偶然ではなく、世界でおこっている恒久平和への巨大な前進を背景にしたものです。日本にもとめられている真の国際貢献とは、憲法九条を生かした平和外交で、「戦争のない国際秩序」を築く先頭にたつことにこそあります。私は、国民の暮らし、そして平和を守るために皆さんとお力を合わせて頑張ります。


吉川政重よしかわ・まさしげ(民主党)

 (註:追加のご意見はいただいておりません。)


【第4区】

大西孝典おおにし・たかのり(民主党)

【質問3(1) 70~74歳の高齢者の一割負担を継続することについて】・・・賛成
 検討中
【質問4 診療報酬のオンライン請求義務化をやめることについて】・・・反対
 オンライン化は、事務効率化の向上のため必要。小規模診療所等を対象とした、オンライン化対応のための、支援を実施する。
【質問10 医療をはじめとする生活必需品へのゼロ税率を適用し、消費税を完全非課税とすることについて】・・・その他
 内容によって、税率を変える方法や、消費税を還付する制度が考えられる。
【質問11 社会保障の財源として消費税率を引き上げることについて】・・・その他
 当面は、税率5%を維持する。税率の検討は、社会保障目的税化や、基礎的社会保障制度の抜本的改革が前提です。その際は、税率、使途を明示し、選挙にかけるべき。
【質問12 戦力不保持を定めた憲法9条を堅持することについて】・・・その他
 憲法9条の規定する平和主義は堅持すべき。一方で、時々の内閣の都合で、事実上の解釈改憲が進んで来た。政府が行う自衛権行使や国際協力について、憲法の明文で、きちんと歯止めを設ける必要性が高まっている。
 (註:先の選択回答方式のアンケートに対して欄外にコメントとして添えられていたご意見です。他に追加のご意見はいただいておりません。)


田野瀬良太郎たのせ・りょうたろう(自由民主党)

 (註:ご意見はいただいておりません。)


 ご協力いただきました関係者に、改めて厚く御礼を申し上げます。

※ 当会は、来る総選挙において、いずれの立候補(予定)者および政党・政派も、団体としては推薦も支援もしません。これは従来からの立場です。本アンケートの依頼状にも明記しました。
※ 各立候補予定者から寄せられた回答の原文の関連資料が当会事務局にあります。希望する当会会員にはこれらを開示することが可能です。

 第1区井上良子馬淵澄夫森岡正宏
 第2区高市早苗滝実西ふみ子
 第3区豆田至功吉川政重
 第4区大西孝典田野瀬良太郎

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