奈良県保険医協会

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新年度の政府予算案編成に向けて、関係閣僚らへ緊急要望を送付 ~奈良県保険医協会

 奈良県保険医協会は1月11日、新政権のもとで準備が進む予算案の編成に向けて、「2013(平成25)年度政府予算編成に関する緊急要望書」と「医療の公共性・保険医の経営を守るため医業税制の存続・改善を求める要望書」の2つの要望書を、政府関係閣僚らへ送付しました。医業税制の要望書は、与党・自民党税制調査会会長にも送付しました。
 また、同じ趣旨の要望書を15日に、通常国会へ前にして、おもな政党(自民・公明・民主・維新・みんな・生活・共産・社民・みどり―の9党)と地元国会議員(馬淵澄夫・高市早苗・奥野誠亮・田野瀬太道・小林茂樹各衆院議員、前田武志・前川清成各参院議員)にも発送しました。

2013年1月11日
内閣総理大臣 安倍 晋三殿
厚生労働大臣 田村 憲久殿
財務大臣   麻生 太郎殿
復興大臣   根本 匠 殿
奈良県保険医協会
理事長 坪井裕志

2013(平成25)年度
政府予算編成に関する緊急要望書

 貴職におかれましては、日頃より国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。
 当会は、奈良県の医科・歯科の保険医1000人あまりで構成し、患者・国民の命と健康、国民皆保険制度を守るために活動している団体です。
 さて、総選挙が終わり、新政権のもと、2012年度補正予算案および2013年度予算案の作成に向けて、折衝・作業の過程であることと存じます。
 医療、社会保障制度の充実は国民生活の「安心」の土台です。新政権におかれましては、社会保障費・医療費抑制政策の継続ではなく、国民・患者の立場にたって、社会保障・医療費総額の引き上げを行うことを期待します。
 つきましては、予算編成にあたり下記のとおり要請いたします。格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

一、70歳以上75歳未満の患者負担は2割に引き上げず1割負担を継続すること。
 民主党政権は、70歳以上75歳未満の患者負担の2割負担への引き上げをめざしていました。しかし、昨今発表された研究調査によれば、患者窓口負担が3割から1割に軽減されると、心身の健康状態が改善する可能性が高いことが明らかになっています(東京大学・ハーバード公衆衛生大学院・筑波大学の共同研究チーム。2012年4月12日)。2013年度以降も2割負担への引き上げはせず、引き続き1割負担を維持するよう予算措置を行うことを求めます。

一、生活保護基準の引き下げ等を行わないこと。「医療扶助の適正化」と称して「指定医療機関への指導等の強化」等を行わないこと。
 自由民主党の「重点政策2012」では、生活保護制度の抜本的見直しとして、生活保護費の「給付水準の1割カット」や「医療費扶助の適正化」などを掲げています。しかし、生活保護基準の引き下げは、最低賃金制度や住民税の非課税限度額など様々な制度に影響を及ぼすため、生活保護受給者のみならず、多くの国民が影響をうけます。生活保護基準の引き下げ等を行わないでください。
 また、民主党政権下で策定された「生活支援戦略」素案では「医療扶助の適正化」と称し、「指定医療機関への指導等の強化」が掲げられていました。生活保護受給者の医療をうける権利や医師の裁量権を侵害しかねないものです。「医療費扶助の適正化」として「指定医療機関への指導等の強化」等を行わないでください。

一、被災地医療の復旧・復興のため、国の責任で被災者の医療費一部負担金の免除及び保険料(税)の減免の延長・継続を復活し、2010年10月以降から遡及して適用すること。また、警戒区域などでの医療保険制度・介護保険制度・障害福祉制度の特別措置を2013(平成25)年度以降も引き続き継続すること。
 民主党政権は、昨年9月30日をもって、被災者の国保・後期高齢者の保険料と一部負担金、介護の保険料と利用料などを免除する「特別措置」を打ち切りました。しかし、被災地の復興・復旧は進んでおらず、被災者の生活再建もできていません。
 「特別措置」を復活して、被災前の生活が戻るまで、医療保険の一部負担金や保険料の免除などの措置を講じた保険者に対し、国の10割負担による財政支援を行ってください。あわせて、協会けんぽについても被災地一部負担金免除等を復活できるよう、必要な対策を講じてください。その際、2012年10月以降生じた保険者・被保険者・患者の負担について、「特別措置」等を遡及して適用し、財政支援を行ってください。
 また、東京電力福島第一原発事故により設定された警戒区域などの被災者について、医療保険の一部負担金や保険料の免除などの措置を講じた保険者などに対する財政支援が実施されています。次年度も引き続き特別措置を継続してください。介護保険制度・障害福祉制度も同様に特別措置の継続を求めます。

以上


2013年1月11日
内閣総理大臣 安倍 晋三殿
厚生労働大臣 田村 憲久殿
総務大臣   新藤 義孝殿
財務大臣   麻生 太郎殿
奈良県保険医協会
理事長 坪井裕志

医療の公共性・保険医の経営を守るため
医業税制の存続・改善を求める要望書

 貴職におかれましては、日頃より国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。
 当会は、奈良県の医科・歯科の保険医1000人あまりで構成し、患者・国民の命と健康、国民皆保険制度を守るために活動している団体です。
 さて、医業に関わる税制につきまして、下記の通り要望いたします。趣旨をご賢察のうえ何とぞ格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

一、医療への事業税の減免措置を存続してください。
 医療は、国民の命と健康を守る、診療報酬は公に定められ、国民皆保険制度と密接不可分の関係にある点、非営利性、応召義務、健診・予防接種等の地方自治体のサービスに主体的に携わるなど、極めて高い公共性・公益性を持っています。保険医療は収益事業ではなく、公共サービスの一翼を担うもので、非課税措置は合理的な措置です。
 医療法人の社会保険診療報酬以外の所得に係る軽減税率についても存続の是非が検討されています。医療法人は営利を目的とせず配当も禁止されており、一般の営利法人とは質的に異なる特別法人です。軽減対象となる部分には、正常分娩、労災、自賠責、公害、予防接種、住民健診など、保険診療に準ずる分野が多く含まれる点からも、税制上の軽減は必要です。

一、社会保険診療報酬の所得計算の特例(4段階税制)を存続してください。
 社会保険診療報酬の所得計算の特例(4段階税制)について、厚生労働省より、一定の見直し案が提案される見通しとなっています(第6回税制調査会、11月12日)。
 本特例は、小規模・高齢の医療機関の記帳負担軽減を図るとともに、診療報酬を税制面から補完するものとして、地域医療提供体制を整備する政策税制として導入されました。震災からの復興、医療崩壊の阻止などの下、拙速な見直しではなく、地域医療を下支えする税制として存続させることが必要です。

一、消費税増税中止と、ゼロ税率課税による「損税」解消を実現してください。
 2015年10月までに消費税を10%へ段階的に引き上げる消費税増税関連法が成立しました。しかし、このデフレ下で消費税増税をおこなえば、景気を更に悪化させ、患者さんがますます医療にかかりにくくなります。加えて、医療機関が負担を強いられている消費税「損税」を増大させ、地域医療の崩壊に拍車をかけます。医療機関にとっては死活問題です。
 消費税増税の中止と、「損税」解消のために保険医療への消費税のゼロ税率課税の適用を求めます。

以上

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