奈良県保険医協会

メニュー

TPP参加断念へ尽力求める緊急要請fax、首相訪米を控え地元国会議員あて:奈良県保険医協会

 奈良県保険医協会は2月20日、安倍晋三首相の訪米と日米首脳会談を前に、国民皆保険医療を守るため日本のTPP参加反対の立場から、首相が日米首脳会談を機にTPP交渉参加へ踏み込むことのないよう、地元・奈良県関係の国会議員7氏(馬淵澄夫・高市早苗・奥野信亮・田野瀬太道・小林茂樹各衆院議員、前川清成・前田武志各参院議員)へ、下記の緊急要請をファクスで送りました。

2013年2月20日
奈良県関係 国会議員 各位
奈良県保険医協会
理事長 坪井裕志

国民皆保険医療を崩壊へ導くTPP参加
断念を求めます

 貴職におかれましては、国政の重責を担っての日夜のご活躍に敬意を表します。
 私たち奈良県保険医協会は、おもに奈良県で開業・勤務する保険医1000人あまりで構成する団体です。保険医の経営と生活の守り、国民医療の向上を目指して活動しています。国民皆保険を守る立場から、我が国がTPP(環太平洋連携協定)に参加することに反対しています。

TPPはまさに「聖域なき関税撤廃」
 安倍首相は、TPP交渉参加が「聖域なき関税撤廃なのかどうかの感触を判断してくる」と、来る22日の日米首脳会談を受けて交渉参加に踏み出す可能性を示唆しています。
 しかし、アメリカやオーストラリアなどで進めているTPP交渉は、関税の撤廃、非関税障壁の撤廃・緩和の承認が参加の前提です。アメリカが一定の「例外品目」の容認を示唆するとしても、加盟国に承認され、将来も維持される保証は一切ありません。

薬価引上げで医療保険財政を圧迫
 医療分野では、医薬品の保険償還価格を決める過程に製薬会社を参加させることや、新薬の特許保護を延長・強化することが議論されています(政府公表「TPP協定交渉の現状(分野別)」2012年3月)。
 日本で製造販売される医薬品の多くはアメリカの製薬会社が特許を持っており、日本の医薬品市場の20%近くを占めています。当会も加盟する全国保険医団体連合会の調査では、今でさえ、日本の薬価はイギリス、フランスの2倍、ドイツの1.5倍と高値である上、アメリカはその日本の1.36倍と更に高値です。2倍を超える医薬品もあります(薬剤77品目を調査)。
 TPPに参加すれば、特許保護期間の延長や高薬価の維持などで、更に薬価が引き上げられることが懸念されます。概算医療費の約30%を占め、9.8兆円にのぼる薬剤費の増加は医療保険財政に大きな悪影響を与えます。

医療の営利化で安全・安心の低下
 TPP交渉を担うアメリカ通商代表部は、外国事業者を含む営利企業による病院経営を認可するよう求めています。TPP参加で営利企業による医業経営が認可されれば、配当益が優先される結果、コスト削減により安心・安全の医療が低下することや、「先進医療」の名目で自由価格の医療が拡大することが危惧されます。
 国民皆保険を守るためにも、TPP参加断念に向けてご尽力いただきますようお願い申し上げます。

以上

トピックス

さらに過去の記事を表示