福島県保険医協会の理事会声明「野田佳彦首相の福島第一原発『事故収束』宣言に抗議する」に賛同します!/奈良県保険医協会
奈良県保険医協会は1月19日に開催した定例理事会で、福島県保険医協会が発表した理事会声明について協議、これに当会理事会としても賛同を表明して政府・与党などに知らせることにしました。
これを機に、原発事故の「収束宣言」の問題点を鋭く衝いた福島協会の理事会声明を当会会員はじめ会内外にも広く知ってもらい、政府の真摯な対応を実現させる一助になることを願っています。
環境大臣 細野豪志 殿
福島県知事 佐藤雄平 殿
民主党幹事長 輿石東 殿
奈良県保険医協会
2012年度第2回定例理事会
福島県保険医協会の理事会声明「野田佳彦首相の福島第一原発『事故収束』宣言に抗議する」に全面的に賛同します
東京電力福島原子力発電所の事故収束と、被害補償に対するとりくみに奮闘されていることと存じます。
当会は、奈良県の医師・歯科医師1070人あまりから成る保険医の団体です。私どもは、福島県保険医協会が2011年12月17日に決定した理事会声明「野田佳彦首相の福島第一原発『事故収束』宣言に抗議する」に全面的に賛同いたします。内容等は、添付した福島県保険医協会の声明文をご覧ください。
事故が全く収束していないにも関わらず政治的意図によりこのような宣言をされたことに対する福島県の皆様の怒り・悲しみを感じとっていただき、十分な対応がなされますようご尽力下さいますことを心より期待しております。
野田佳彦首相の福島第一原発「事故収束」宣言に抗議する
福島市御山字中屋敷96(〒960-8252)
TEL024-531-1151 FAX024-531-1153
野田佳彦首相は12月16日記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島原発」)事故に関し、「原子炉が『冷温停止状態』に達し発電所の事故そのものは収束に至ったと判断される」と述べ、事故収束への行程表の「ステップ2」完了を宣言しました。
3月11日の地震と津波で福島原発の全電源が喪失、3基の原子炉は炉心溶融(メルトダウン)を起こし、事故から9ヶ月たった今も、溶けた燃料の状態が不明の上、汚染水は増え続け、放射性物質の外部への放出も止まっていません。
政府は、①圧力容器底部の温度が100度以下になった。②放射性物質の放出が目標値まで下がった。③冷却システムの当面の安全性が確保できた―ことから冷温停止状態と判断。地震や津波を含め不測の事態が起きても敷地境界での被曝線量が低い状態を維持できるため「収束」と表現したとしています。
しかし、冷温停止は、正常な原子炉で、核燃料の間に制御棒を入れ核分裂反応を止め、水の循環で安定的に原子炉を冷やすことを指すもの。水素爆発により痛みが激しい建屋や使用済み燃料プール、そしてむき出しになった原子炉の損傷具合や溶けた核燃料の現状は確認できていません。原子力安全委員会の斑目春樹委員長は「炉の中の状態がわからず何が起こるかきちんと予想することが難しい」と認めています。
また、原子炉に注水した水が放射性物質とともに原子炉建屋やタービン建屋の地下に流れ出し高濃度放射能汚染水としてたまり続け、処理装置は毎日のようにトラブルを起こし「安全性が確保」されるには程遠い状況であることは明らかです。加えて、増え続ける地下水の流入、海洋への流出を防ぐ遮水壁の構築も始まったばかりで、大気中への放射性物質の放出は目標値まで下がったかもしれませんが、放射性物質の放出が抑制、管理されているとは到底言えない状況です。
元日本原子力研究所研究員で核・エネルギー問題情報センターの舘野淳事務局長は「米スリーマイルアイランド原発事故では10年超かけて溶けた燃料を回収し、汚染水処理を終えた後、国内外の専門家が『収束した』との認識を持った。福島第一原発の状態はとても収束とは言えず、こういう政治的宣言は問題だ」としています。溶けた核燃料の状態の確認をはじめ、原子炉の損傷状態、高濃度放射能汚染水の安定的処理方法、大気だけでなく地下水・海洋への放射性物質の放出の抑制・管理―の確認・確立なしに、「事故は収束に至った」といっても何の意味もありません。
福島原発事故から9ヶ月、この間の政府、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、そして東京電力による事故の過小評価と、いたずらに「安全」を強調し、正確なデータを公表しない姿勢が、住民・国民に不信と混乱を広めてきましたが、今回の根拠が乏しくあてのない「収束宣言」も反省の無いその繰り返しであると言わざるを得ません。
県と関係自治体から「収束を早々と国民に印象づけることを狙った点数稼ぎの演出」との批判は当然であり、避難をされている方々をはじめ福島県民の感情を逆なでし、さらに政府への不信感を広げるものであり、決して容認できるものではなく強く抗議します。
同時に、一日も早い福島原発事故収束のため、政府をはじめ、国内外のあらゆる専門家・諸団体の英知を集め、「政治的判断」では無く、科学的根拠に基づいた対策・判断を取られ、公表することを強く強く求めるものです。
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