廃止法案の早期成立を!――後期高齢者医療制度の廃止をもとめる奈良県集会を開催しました
「後期高齢者医療制度の廃止をもとめる奈良県集会」を8月24日、奈良県保険医協会の主催で開催し、協会関係者のほか老人クラブ関係者や一般の県民など130人が参加しました。集会では、基調報告で後期高齢者医療制度の問題点や同制度の導入にあたってよせられた県民の声などを紹介したほか、同制度の廃止法案の早期成立を求める「集会アピール」を採択しました。
集会には、地元国会議員の、滝実衆議院議員・前川清成参議院議員が出席して賛同の挨拶を述べたほか、前田武志・中村哲治両参議院議員の秘書が代理として出席、馬淵澄夫民主党県連会長・衆議院議員から賛同のメッセージが寄せられました。県会議員の中野明美氏も出席して賛同の挨拶を述べました。
基調報告のあとには、数名が相次いで発言。年金者組合奈良県本部の藤垣全弘委員長が、後期高齢者医療の保険料決定通知に対して、集団不服審査請求をおこなっている取り組みを紹介しました。医療法人平和会吉田病院職員の橋本直樹氏は、奈良民医連がおこなった後期高齢者の患者さんの聞き取り調査の結果の報告をしました。峯克彰理事は医師の立場から、後期高齢者医療制度と同じ法律によっていっしょに導入された特定健診・特定保健指導の問題について注意を喚起しました。
また、会場フロアから、高齢者が相次いで発言して、同制度に対する怒りや疑問を投げかけました。病院に勤務する職員は、高齢者の医療を診療報酬で誘導されるため、制度に対応しようとすれば高齢者に無理な退院を迫ることになってしまう問題など現場の苦悩を紹介しました。
集会の冒頭には、大阪高齢者運動連絡会の森江幸次郎氏が「いま、高齢者のがんばりどき」と題して腹話術を披露。また集会の開催前に会場では、一般県民も多数参加されるため、保団連作成のDVD「より良く食べるはより良く生きる」を上映しました。ロビーでは、来場者に「わたしの一言」を短冊に書いてもらって貼りだし、また、歯科役員による無料の歯科・入れ歯相談コーナーを開設、相談に応じるなどの取り組みもしました。
集会には、賛同・協力のよびかけに応えて、多くの賛同もよせられました。
集会のあとに届いた連絡もあります。後日、整理してご紹介する予定です。
「年金生活をしている上に、介護保険料に続き、85歳と80歳の夫婦から保険料を天引きされ、どんどん生活が苦しいです。何が福祉国家ですか? 年寄りは早く死ねということですか?」「若い時代に一生懸命に働き老人を大切に敬い、今度自分が老人になったら、保険料が払えなかったら、保険証を取り上げるって? そんな無茶な世の中が罷り通る世の中、残念無念です」「焦土と化した戦後の復興を、血の出るような涙ぐましい努力で、現代の日本を築いて来た足跡を、国はどう考えているのか、もっとあたたかい処遇をぜひ再考してほしい」「もう少し生きていたい気持ちでいますが、生きていてはいけないのですか?」
――これらは、後期高齢者医療制度の導入にあたって、奈良県保険医協会が制度の中止・撤回の署名をよびかけたところ、よせられた署名に添えられていた、75歳以上の「後期高齢者」とされた方々の声の、ごく一部です。
高齢者に、これほどつらい思いを強いる医療制度とはいったい何でしょうか。
「後期高齢者」とされた人々も、「前期高齢者」とされた人々も、また、若年の人々も、多くの人々が怒りや不安をいだいています。後期高齢者医療制度のもとで、よい医療をしたいと願う医療者も、戸惑い、反発しています。
「長寿医療制度」と名前を変えても、医療費を抑制するためにつくられた制度の本質はいささかも変わりません。
そうしたなかで、多くの国民の声を背景に、国会には4野党により後期高齢者医療制度廃止法案が提出され、参議院ではすでに可決しています。
私たちは、今秋に召集される国会において、衆議院で継続審議となっている廃止法案をすみやかに審議し、早期に成立させることを強く求めます。そして、今後の医療制度の改革にあたっては、国民的な合意を得られるよう努めることを求めます。
幅広い県民、国民のみなさんとごいっしょに、その実現をかちとるために、よりいっそう世論をひろげましょう。
2008年8月24日
後期高齢者医療制度の廃止をもとめる奈良県集会 参加者一同
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