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【第68回】職員の健康診断

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第68回】職員の健康診断

 職員の健康診断を休診日に指定した病院で受けてもらっています。費用は事業主が支払うのですか。また休診日なのでこの日は休日出勤になるのですか? 健診を受けることを拒否する職員がいた場合はどうすればよいですか?

健康診断とその後の措置として以下のことが定められています。

  • 事業主は職員の健康管理のため、定期健康診断、雇入れ時、配置替え時、海外派遣時等の職員に対して、それぞれ健康診断を行い、その結果に基づいて適切な事後措置を講じなければならない。
  • 事業主は健康診断の結果を職員本人に遅滞なく通知しなければならない。
  • 定期健康診断であって、一般健康診断(職員数50人以上の規模の事業場)および特殊健康診断(全規模の事業場)は、健康診断結果を遅滞なく所轄の労働基準監督署長に提出しなければならない。
  • 職員は、事業主が行う法定の健康診断を受診する義務がある。

◆健康診断の費用の負担は?

 一般健康診断、有害業務従事者に対する健康診断および臨時の健康診断とも、健康診断の費用については、法で、事業主に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業主が負担すべきものです。ただし、職員が事業主の指定した医療機関ではなく自分が選んだ医師の診断を受けた場合には、様々な理由が考えられますので、費用負担などトラブル防止のためにも事前によく話し合っておくことが大切です。

◆労働時間内に実施しなければならないか?

 定期健康診断の実施時間については所定労働時間内に実施する義務はありませんが、職員の便宜をはかり、所定労働時間内に行うのが望ましいといえます。

 所定労働時間内に実施する義務はありませんので、今回のケースは休日出勤として取り扱う義務はないと思いますが、労使間の協議によって定めるべきものとなります。

◆パートタイム職員にも健康診断を受けさせるべきですか?

(例)通常の職員の週の所定労働時間が40時間と仮定すると

健康診断における常時使用する労働者の条件

※特定業務従事者(深夜業・有機溶剤等有害業務従事者)にあっては上記1年を6ヵ月とする。

  1. 30時間以上働くパートタイム職員→健康診断の実施が必要
  2. 20時間以上30時間未満のパートタイム職員→健康診断の実施が望ましい

◆拒む職員を受診させずにおいた場合どうなるか?

 事業主が健康診断を実施しないなど労働安全衛生法に違反したときは、50万円以下の罰金に処せられます。

 ここで、事業主としては健康診断を実施したが、一部の職員が拒否して受診しなかったことをもって罰せられるかどうかですが、同法は事業主に対し、同法所定の健康診断を実施することにより、職員に対し受診する機会を与えることで足りるとの立場をとっています。

 職場を安全で衛生的な環境状態に整備し維持することが事業主には求められています。その目的を達成するため、健康診断を受診することを職務上の行なうべきこととして命令することができると解します。

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