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【第14回】パートの年次有給休暇

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第14回】パートの年次有給休暇

1日4時間だけのパートにも年次有給休暇必要か

 パートなどのように、所定労働日数が少ない職員の年次有給休暇(以下年休という)については、一般職員の所定労働日数と比較して、その割合により計算した年休日数を与えることとされています。これを比例付与方式といいます。その対象となる職員は、週の所定労働時間が30時間未満の者であって、①週所定労働日数が4日以下の者、②週以外の期間で所定労働日が定められている場合には、年間の所定労働日数が216日以下の者となっています。

 従って、週4日勤務のパートでも1日所定労働時間が8時間の職員は、通常の職員と同様に付与されます。年休比例付与は所定労働日数によって算定され、1日の所定労働時間の長短には影響されませんので注意しましょう。

パートの年休日数に対する賃金支払いは

 年次有給休暇を取得した期間について支払うべき賃金は、①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③健康保険法による標準報酬日額に相当する金額、のいずれかとなされています。このうち、③の方式については、労使協定をした場合に限って選択できます。

 年休を取得した期間の賃金については、どの方式にするかはあらかじめ就業規則等で定めておくことが必要で「労働者各人についてその都度使用者の恣意的選択を認めるものでない」とされています。

 パートの場合、日々所定労働時間が異なる勤務形態をとっている場合は、所定労働時間労働した場合に支払われる賃金を年休取得日に支払うことで足りますが、年休の取得日によって賃金の額が異なるため、合理的でない場合が考えられます。このような場合は、平均賃金で支払う方法が合理的ではないでしょうか。

契約を更新するが年休はどうなるか

 ご承知のように、年休の付与要件は、①雇入れの日から起算して6カ月継続して勤務すること、②全労働日の8割以上出勤すること、とされています。

 6カ月間の雇用契約期間を終え再度契約を締結した場合、これを継続勤務と見るかどうかが問題となります。この場合は、その労働関係を継続したものとみるかみないかは、その実態において判断することになります。契約を更新する場合は、最初の契約の終了時と次の契約の開始時に空白の期間がある場合でも、空白の期間が長く客観的に雇用関係が断続しているとみられる場合を除き継続勤務とみなされる場合が多いといえます。医院の場合、1日も空白期間なく更新することが一般的ですので、継続勤務とみなし、年休を与える必要があります。

開業医の雇用管理ワンポイント

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