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【第10回】パートでも雇用保険に加入する義務があるのか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第10回】パートでも雇用保険に加入する義務があるのか

Q 正職員3名とパート職員4名の医院ですが、1人は1週の所定労働時間が24時間、1人は週によってまちまちで決まっていません。もう1人は学生です。雇用保険の適用はどのように考えたらよいのでしょうか?

昼間の学生は原則として被保険者となりません。

 学生や生徒が雇用されていても雇用保険上の労働者とは認められないので被保険者となりません。卒業見込み証明書のある者が、卒業前に就職し卒業後も引き続き当医院に勤務する予定の者は被保険者となります。

短時間就労者(パートタイマー)はどうなりますか?

 次の2つの要件をともに満たせば被保険者になります。(2つの要件については、雇用契約書等に定められていることが必要です。)

①1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
②1年以上引続き雇用されることが見込まれること。

 短時間就労者とは、パート、アルバイト等の呼称にかかわらずその事業の通常のフルタイムの職員より所定労働時間が短く、かつ1週間の所定労働時間が40時間未満の者をいいます。

 被保険者であった者が、上記の要件に該当しなくなったときは、被保険者となりませんので、資格喪失の届出を行ってください。

シフト表で勤務日を定めていますので、週単位で判断するのは難しいが?

 1週間の所定労働時間が、短期的かつ周期的に変動する場合には、当該1周期における各週所定労働時間の平均を1週間の所定労働時間とします。

 所定労働時間が1カ月の単位で定められている場合は、当該時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とします。

午前中は他の医院で働き、午後から当医院で勤務している場合は?

 2以上の事業主から同時に賃金を受けている場合は、その職員が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一方の事業主のもとでのみ被保険者となります。

院長として注意すべき点

【不正受給への加担】
 「自己都合退職だったが、本人が解雇にしてほしいと言ってきた。どうすればよいか」といった相談を受けることがあります。離職証明書に記載する賃金や離職理由など、事業主が提出する各種の届出・証明書の、故意の虚偽記載によって不正受給が行われた場合、事業主も不正受給者と連帯して処分を受けることがあります。不正受給には絶対に加担しないようにしてください。

【資格の取得日】
 資格の取得日は試用期間が終了した日ではありません。例えば、試用期間3カ月が終了してから雇用保険の加入手続きを行うといった医院が見受けられますが、被保険者となる日は、雇用関係に入った最初の日をいい、試用期間がある場合でも、試用期間の最初の日となります。手続きの遅れによって、職員の失業給付受給資格に欠損を生じた場合、それは雇う側の責任です。

開業医の雇用管理ワンポイント

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