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【第11回】離職理由を「解雇にしてほしい」と言ってきたが

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第11回】離職理由を「解雇にしてほしい」と言ってきたが

 自己都合で退職したいと言っていた職員から、離職証明書の離職理由について、「解雇にしてほしい」と言ってきた。本人が得になるのなら…。どうすればいいですか?

失業給付の要件

 離職証明書の離職理由によって、給付制限期間の有無や所定給付日数が違うことを知っている職員からの要望だと思います。

 失業給付の支給は、離職理由が、本人の都合により“自己都合”退職した方及び自己の責任による重大な理由により解雇された方は、手続きをしてから7日間の待期が過ぎた日から、さらに3カ月間(給付制限期間)は支給されません。

 また、支給される日数は、被保険者として雇用されていた期間に応じて定められていますが、受給資格に係る離職の理由が、倒産・解雇等により、再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者は、「特定受給資格者」となり、この場合、離職時の年齢、被保険者として雇用された期間に応じて定められています。

 当然ですが、失業給付を受けるためには、受給資格、受給手続き、受給期間等の要件を満たす必要があります。

雇用保険の受給資格要件が変わりました

 これまでの週所定労働時間による被保険者区分をなくし、雇用保険の基本手当の受給資格要件が一本化されました。原則として、平成19年10月1日以降に離職された方が対象となり、雇用保険の基本手当を受給するためには、週所定労働時間の長短にかかわらず、原則、離職前2年間に12月(各月11日以上)の被保険者期間が必要となります。ただし、倒産・解雇等により離職された方は離職前1年間に6月(各月11日以上)が必要となっています。

不正に加担しないこと、連帯して処分を受けることがあります

 不正受給が、発見された場合は、その後の基本手当などの支給は一切されずに、さらに3倍返しなどの厳しい処分があります。

 不正受給に事業主が共謀していると認められる場合には、その不正受給金返還について事業主が連帯責任を負うことになりますので、諸届の扱いにあたっては充分注意してください。よその医院でもやってもらったと迫る職員がいますが、くれぐれも注意してください。

退職の意思表示は、書面で受け取る

 そのようなトラブルを避けるためにも、退職の意思表示は、口頭でなく書面で受け取るようにしてください。内容としては、記入された日時、退職日、退職理由などが明記されているか、そして、その書面を受け取った日を共通認識しておいてください。

間違いが起こりやすいケース

 試用期間が終了して正職員になったのでと、その時から手続きする事業主がいますが間違いです。例えば、10月7日付け採用となった場合は、10月7日が日曜日で、休日であっても採用年月日は10月7日となります。雇用契約に入った最初の日から取得します。退職してから被保険者として雇用された期間でトラブルが起きるケースがありますので、正確に手続きしてください。

開業医の雇用管理ワンポイント

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