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【第64回】65歳まで雇用しなければならないか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第64回】65歳まで雇用しなければならないか

65歳まで雇用しなければならないか

 来年60歳になる職員が2名います。1人は看護師、1人は受付・助手です。60歳後の雇用継続の有無や労働条件について、話し合う時期に来ています。本人が希望するなら雇用継続はいいのですが、労働条件について変更しようと思っています。

 正職員の雇用契約では、期間の定めのない契約を結ぶのが普通ですが、無制限に働けるわけではありません。これに終止符を打つのが定年制です。「定年制」とは、職員が一定の年齢に達したときに雇用契約が終了する制度です。

◇60歳未満の定年制の無効

 「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない」(高年齢者雇用安定法第8条)とされ定年を60歳以上とすることが義務化されています。なお、定年を定めないことは違法ではありません。

◇65歳までの雇用確保措置

 定年(65歳未満の者に限る)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳(経過措置あり)までの安定した雇用を確保するため

  1. ①定年の引上げ
  2. ②継続雇用制度の導入
  3. ③定年の定めの廃止
 のいずれかの措置を講ずることが義務付されています。

 継続雇用制度は、再雇用を希望する者全員を対象としなければなりませんが、平成25年3月31日までに、すでに労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めている使用者は、老齢厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げと合わせる形で、当該基準の対象者の年齢を平成37年3月31日まで段階的に引き上げながら、当該基準を利用することができるとされています。

◇継続雇用後の労働条件で合意できなかった場合は

Q.本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず、継続雇用を拒否した場合も違反になるのですか。

A.高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。(厚生労働省「高年齢者雇用安定法Q&A」より)

◇年次有給休暇の取扱いは

 形式的には従前の雇用契約とその後の労働契約とは別個のものですが、単なる身分の切替えであって実質的には雇用関係が継続しているものと認められ、勤続年数を通算しなければなりません。定年退職金の支給の有無とは関係ありません。

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