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【第73回】パート職員の年休5日の義務化と取得促進・定着について

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第73回】パート職員の年休5日の義務化と取得促進・定着について

パート職員の場合、都合の悪い日はシフトを入れ替えて対応しているので、年休の請求は必要ないようです。年休5日取得義務化をどう定着させればよいですか。

◆職員の体調不良や子供の病気等の時はどうしているのですか?―休暇取得促進策として

①半日単位の付与
 年休は1日単位で取得することが原則ですが、職員が半日単位で取得を希望し時季を指定し、使用者が同意した場合であれば、1日単位取得の阻害とならない範囲で、半日単位で年休を与えることが可能とされています。
 半日単位での年次有給休暇の利用は、職員、院長両方にメリットがあるのではないでしょうか。人手不足の際に午後からでも可能なら出勤してもらう等、非常に活用されています。

②病気等やむを得ない理由による事後の請求
 運用のルールとして就業規則に「病気等やむを得ない理由を除き、勤務日の始業時刻以後の年次有給休暇の請求は認めない」の規定を。
 職場環境として「無理することなく、遠慮することなく」は定着にかかせません。

③個人別計画付与方式を導入
 繁忙期または患者が少なくなる時期がある場合は、積極的にその時期に個人別計画付与方式を導入。医院にとっては業務に支障をきたしませんし、職員からは長期休暇等がある子供たちや家族と有意義な日を過ごせたと歓迎されています。

◆職員の確保、定着に大きな影響が

①イキイキと働く職員をみて
 ある産婦人科、まかない業務を担当する60歳前後のパート職員が8人前後働いています。いままでは請求がないとのことで、年休を取得する職員はいませんでした。昨年4月から請求・管理台帳を作成し、全員に渡すようにしましたが、年休取得の経験がない職員ばかりでした。
 院長の感想は、「毎月1日は全員請求・取得していますが…、初めはどうなるかなと心配しましたが、イキイキと働いてくれています。」

②掛け持ちの看護師から正職員として働きたい
 4コマずつの掛け持ちで働いていた看護師、給与はどちらも時間給で、50円当院が低いと聞いていましたが、「一緒に働いている職員で年休を取得する人はいないし、前向きな話もないので、退職することにします。兼業はやめ来年からこちらで正職員でお願いします。」とのこと。院長は大歓迎、時間給が低いのでこちらを辞めて行ってしまうのでないかと心配していましたがこれで安心。(5日以上の取得は、ごく自然にできている医院です。)

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