奈良県保険医協会

メニュー

【第71回】職員間(正職員と2名のパート職員)のトラブル その原因と対策は

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第71回】職員間(正職員と2名のパート職員)の
トラブル その原因と対策は

当院の看護師どうし、人間関係でトラブルをかかえています。どのようにしたらよろしいでしょうか。正職員のA看護師の態度・行動に、午前・午後のパート看護師がもう我慢の限界で、パートBとCは「この人とは一緒に仕事をしたくない」「職場の雰囲気が悪くなるのなら私たち2人が辞めたい」という状況です。どの点が嫌なのかを書いてもらいました。私としましては、パート2人が辞めてしまうのは大きな損失でそれだけは避けたいので、正職員のAに辞めてもらう形がよいのではと考えています。

◆Bさん・Cさんから見たAさんの行動

①出勤時間が遅い
②患者さんへの挨拶の声が小さい、「お大事に」というセリフはほとんど少ない
③トイレに行った時、毎回5分以上は戻ってこない
④患者さんが話をされている時、腕組みをして立っている時がある
⑤他の職員の方にくらべて有給休暇を取りすぎ
⑥採血をする時に多く血液を採りすぎる
⑦職業に似合わない化粧をしている

◆院長(使用者)として

 「①出勤時間が遅い」とのことですが、始業時刻までに出勤しているのであれば問題ありません。ただし、始業時刻までに準備等を指示しているなら、その時間も所定労働時間になりますから注意してください。
 「⑤他の職員の方にくらべて有給休暇を取りすぎ」とのことですが、「正職員だから」我慢すべき等々があるならこれも間違いです。院長としては、正職員が有給休暇を取得したときに業務がスムーズに行われているかについて配慮することが大切です。
 まして「⑦職業に似合わない化粧をしている」は問題にすべきことでありません。

◆Bさん・Cさんから以前に出されていた要望

 Aさんを採用するときに、Bさん・Cさんから、Aさんと自分達との賃金額に差があるので、自分達の賃金を上げてほしいと要望が出されていました。日常業務はほぼ同内容です。賃金の件に加えて、上記のAさんの態度・行動ということもあり、不満がうっ積していたようです。

◆改正パート労働法では

 平成27年4月より「短時間労働者の待遇の原則」が新設されています。「事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」(第8条)と規定されました。この点についても、院長として見直してみる必要があるのではないでしょうか。

◆Aさんの勤務中の態度については院長が現認してから事実に基づいて対応を

 今回のAさんの件について、院長は「初めて知った」ようですが、まずは、事実確認を行い、事実であるならば、しかるべき対応を行う。まずはそこから始めてください。

▲目次に戻る

▲このページの先頭に戻る

▲奈良県保険医協会トップに戻る

開業医の雇用管理ワンポイント

さらに過去の記事を表示