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【第67回】妊娠中の職員から軽易な業務に転換を請求がされたが

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第67回】妊娠中の職員から軽易な業務に転換を請求がされたが

 妊娠中の職員から立ったままの作業が続くと体力的な負担が大きいので、しばらく他の業務に振り替えてほしいとの申し出がありました。このような場合、どのように対応すべきでしょうか。

 また、妊娠中・出産後の女性に対して、他に留意すべき事項があれば教えてください。

 「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない」(労基法第65条第3項)と定めています。その趣旨は、妊娠中の女性は、心臓の仕事量の増大、体重増加等により必要エネルギーが増大し、作業能力が低下すること等から、その健康及び胎児の健全な発育のため業務軽減についての特別な配慮が必要とされるからです。

 具体的にどのような業務に転換させるべきかについては、その医院における業務の実態や個人の側の条件もさまざまであることから、法律上は特に定められていません。

 ただし、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではないとされています。当該職員とよく話し合ったうえで対処するようにしましょう。

◇妊産婦の労働時間で気をつけることは

 使用者は、妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)が請求した場合には、次のことをさせてはいけないとなっていますので注意してください。

  1. 1ヵ月単位の変形労働時間制等の変形労働時間制を採用している場合について、1週または1日の法定労働時間を超えて労働させること
  2. 法定労働時間を超えて時間外労働をさせ、あるいは、法定休日に休日労働をさせること
  3. 深夜時間帯(午後10時~午前5時)に労働させること

 妊産婦は、本人の健康状態、業務内容、授乳の有無等により就業可能性の程度が異なるので、請求によって制限することとしたものであり、使用者は請求された範囲で妊産婦をこれらに従事させなければ足りる、となっています。あくまで請求された場合の対応です。

◇男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置も

(1)保健指導または健康診査を受けるための時間の確保

(2)医師等からの指導事項を守ることができるようにするための措置

  1. 妊娠中の通勤緩和
  2. 妊娠中の休憩に関する措置
  3. 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

フロー図

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