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【第36回】昼休みに帰宅して食事をとる職員いるが、途中で事故に遭った場合は

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第36回】昼休みに帰宅して食事をとる職員いるが、途中で事故に遭った場合は


 昼休み(午後1時~2時)に自宅が近いので、食事のためにいったん戻り、午後再び出勤している職員がいます。自転車での往復ですが、自動車と接触し負傷した場合など通勤災害に該当するでしょうか。
  職員の叔父が経営するラーメン店に、職員の母親が昼時に洗い物等の手伝いに行っています。その店で職員が昼休み中に食事をとり、その後、再び出勤する途中の災害は、どうなりますか。

◇通勤災害の認定の要件は

 通勤災害は、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」をいうものと定義され、その通勤については、次のとおり定義されています。
  「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」
  「労働者が、前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項の往復は」、通勤としない。「ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うため最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。」
  通勤災害とは、この「通勤」の要件をすべて満たした通勤行為中に発生した災害をいうことになります。

◇昼休み帰宅中の負傷は

 そこで、ご質問のように、昼休みに食事のために自宅に帰る場合、行政解釈では、「通勤は1日について1回のみしか認められないものではないので、昼休み等就業の時間の間に相当の間隔があって帰宅するような場合には、昼休みについていえば、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤するものと考えられるので、その往復については業務との関連性が認められる。」となっています。
  この場合の昼休みの往復行為は「就業に関し」と認めています。したがって、質問のケースは上記の認定要件に特に問題がない場合は、通勤災害に該当するでしょう。

◇叔父が経営するラーメン店で食事をした場合は

 (1)就業に関し(2)住居と就業の場所との間を(3)合理的な経路及び方法により行われ(4)逸脱・中断がないことが一般的な通勤災害の認定要件になります。
  後半のご質問の場合は、職員の叔父が経営するラーメン店は、被災職員本人が居住して日常生活の用に供している場所でなく、職員の母親が手伝いに来ていたので当該ラーメン店で食事をしていたものであることから、当該ラーメン店は住居とは認められません。
  したがって、住居と就業の場所との間の往復行為の際の災害ではないので、通勤災害と認められないでしょう。

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