【第35回】募集の内容と採用時の労働契約の不一致は許されるか
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【第35回】募集の内容と採用時の労働契約の不一致は許されるか
Q
求人内容と一部違う雇用契約になってしまうのですが、拘束されますか。
A
求人誌などの掲載内容と職員と締結する雇用契約書、そして実際の内容をすべて一致させることは大切なことですが、そうでない場合どこまで許されるのか。
◇裁判例では―求人票記載と賃金額との差額を請求した事案
「求人は、労働契約申込の誘引であり、求人票はそのための文書であるから、労働法上の規制(職安法第一八条)はあっても、本来はそのまま最終の契約条項になることを予定するものでない」「民法上も、雇用契約において、その効力発生までに賃金が確定すれば足りることは当然である」として、求人票の条件がそのまま労働契約の条件にならないとしています。
裁判例のなかには、「公共職業安定所の紹介により成立した労働契約の内容は、…特段の事情のない限り、求人票記載の労働条件のとおり定められたものと解すべきである」とするものもありますが、一般的には法的拘束力は認めていません。
ただ、信義則上、確定賃金額が著しく下回ることは許されないでしょう。
◇トラブルを避けるために
賞与や昇給は、医院の経営状況の影響を受けやすい要素がありますが、とくに中途採用者の場合は、賞与の支給月数・額や昇給のあり方が医院を選ぶときの重要な動機になります。トラブルを避けるためにも、昨年実績か見込額を記載するほうがよいと思います。
◇労働契約書と実際が異なる場合
労働条件と事実が違う場合には、労働条件どおり履行の要求をすることができます。これに応じない使用者に損害賠償を請求することもできます。
また、明示された労働条件が事実と相違する場合には、職員は当該契約を即時に解除することができます。この場合において、就業のために住居を変更した職員が十四日以内に帰郷するときは、使用者は、必要な旅費(家財の運搬費含む)を負担しなければならないことになっています。
◇「よい職場にはよい人材が集まる」、労働条件を整備してそれをアピールすること
周辺の医院に知られたくないからと言って、「給与は当院規程により優遇」とか「委細面談」などの求人広告を時々みますが逆効果と言えます。就職活動をしている人は、できるだけ自分の希望に合った条件の医院を探しています。表示額のないお店は入りにくいでしょう。労働条件をよく検討し明確にする、それを募集条件にすることで、応募効率を高めることができるでしょう。
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