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【第27回】研修会にも時間外手当は必要ですか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第27回】研修会にも時間外手当は必要ですか

◇研修会に参加する時間は


 スタッフ全員参加のマナー研修会を院内で行いましたが、労働時間と見るべきですか、その時の賃金はどうすればいいですか?
  また、当院より車で1時間少々の会場で行われた研修会に参加した職員に対して、交通費や帰宅した時間が定時の終業時刻を過ぎていた場合、時間外手当は必要ですか?

A
 就業規則の定めなどで参加を強制した場合や労働安全衛生法に基づく安全衛生教育の場合は、労働時間となります。一方、そのような強制がない自由参加のものは労働時間ではありません。
  就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的に支障が生ずるか否かの観点から、実質的にみて出席の強制があるのか否かにより判断されます。
  通常の勤務と同じ単価で支払うか、医院内の研修が毎週または毎月定期的に設定されているような場合、その時の賃金については、給与規程で通常の勤務時の賃金でなく、別に定めて運用することは可能です。例えば通常時間給1500円の看護師でも、研修会の参加時間を独自で把握して、研修参加の時間給は800円と定めても問題ありません。同じ業務でも、スタッフの確保が難しいときは午前より午後の労働時間の単価をアップしてスタッフを確保するのと同じで、どうするか給与規程で明確にしておくことが必要です。

◇出張の際の往復時間は

  「労働者が日常の出勤に費やす時間と同一の性質であると考えられるから」その往復時間、所要時間は労働時間に算入されません。この場合は、研修会が始まった時刻が始業時刻で、終了した時刻が終業時刻になります。自宅を出発した時刻、帰宅した時刻ではありません。

  ただし、行きも、帰りも当院に立ち寄ったなら、当院を出た時刻、到着した時刻が始業、終業時刻になりますので注意してください。

  今回は1時間程度ですが、これが3時間、4時間かかる往復なら職員から不満が出ることがあります。多くの医院ではこのような場合は、出張手当とか、昼食手当の名目で数千円程度支給すると出張規程などに定め運用するのが一般的です。交通費ですが、この研修会が強制の場合は、特約がない限り実費支給するのは当然だと思います。

◇研修中の勤務態度について

  労働時間として把握する場合は、当然ですが私語や携帯電話の私的使用、居眠り等々の勤務態度は曖昧にできません。賃金を支払うのですから、そのことをスタッフにも自覚してもらうことが大切です。

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