【第25回】労働時間を適切に管理する責務があります
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【第25回】労働時間を適切に管理する責務があります
「サービス残業 特養理事長逮捕へ 労基法違反容疑で」「残業代1億円超未払い滋賀医大に労基署勧告」などの新聞報道があとをたちません。
労働時間の把握について、自己申告制等の不適正な運用により、割増賃金の未払い、過重な長時間労働といった問題が大きな社会的問題となっている現状から、厚生労働省では「基準」を示し、その基準の尊重と適正な労働時間管理を行うよう指導しています。
使用者が講ずべき措置
①始業・終業時刻の確認と記録―労働日ごとに始業・終業時刻を確認・記録すること
②始業・終業時刻の確認と記録の方法―原則として、客観的な方法によること 原則的な方法として
ア、使用者自らが現認することにより確認し、記録する
イ、タイムカード等客観的な記録を基礎として確認し、記録する
③労働時間の記録の保存
ア、労働時間の記録に関する書類(タイムカード等)を3年間保存すること
イ、賃金台帳にも労働時間の記録(労働日数、労働時間数、休日労働時間数、残業時間数等)を記載すること
医院で見られる誤りー該当すればすぐに是正を
賃金は、原則としてその全額を支払わなければなりませんが、計算の過程で発生する端数について「1カ月間における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げて処理すること」は差し支えないことになっていますが、この規定を自分勝手に解釈して、毎日の労働時間の把握において、昼の休憩時間に入る時刻や所定労働時間の終業時刻を毎日15分未満切り捨て、30分未満切り捨てとしている事は誤りです。
例えば毎日20分切り捨てで月21日間勤務したとして、月に7時間のただ働きが発生、賃金に直すと時間給1200円の場合、その時間が割増賃金の対象の場合は1万500円となります。職員10人で2年間分を計算すると252万円の賃金未払いとなります。
労使双方が労働時間に対する意識を改めることから
労働時間は、業務に従事する時間であって、生産能率や生産高等に直接関係するとともに、労働時間の長さに応じて賃金が決定されることから経営上の経費にも密接な関係を有しています。「だらだら仕事をしている」「少々の遅刻は大目に見ている」等の理由にサービス残業は当たり前との声を時々聞きます。当然ですが、職員は職務に専念し効率的な労働に努める。使用者は労働時間を正確に把握し、賃金は全額支払う。そのため改善すべき点は率直に指摘し、協力して問題の解決にあたる姿勢が大切です。
余暇の活用などの国民の生活習慣の変化、高齢社会への適切な対応など労働時間外の時間に対して重要性と関心が高まっています。優秀な職員の多くは、特にそのことを大切にしています。労働時間を適切に管理することは優秀な職員の定着を図るためにも重要なことと言えます。
開業医の雇用管理ワンポイント
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