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【第15回】年次有給休暇①

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第15回】年次有給休暇①

退職することが明らかな職員にも年休を与えなければならないか?

 雇い入れ日から起算して6カ月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した職員に対して最低10日(週所定労働日数が5日以上又は週所定労働時間が30時間以上の職員の付与日数)を与えなければなりません。1年契約の職員で半年後に退職することが明らかな職員の場合であっても適用されます。法定の要件を満たした場合には残りの労働契約日数の長短に関りなく、付与しなければなりません。

年休を買い上げてもよいか?

 年次有給休暇の買い上げは許されません。ただし、すでに時効にかかった部分、行使しなくて消滅した分については、もはや労基法の関知するところではありませんので、消滅した年次有給休暇をどのように処理するかは、当医院での就業規則なり労使協定で定めればよいことになります。また法定を上回って付与している日数分の買い上げや退職時の買い上げについても同じことが言えます。

 年次有給休暇権は、基準日に発生します。未行使の場合は翌年に繰り越しできますが、基準日から起算して2年間、当年度の初日に発生した休暇については、翌年度末で時効により消滅します。

年休取得期間に対して支払うべき賃金?

 年次有給休暇を取得した期間について支払うべき賃金は、①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③健康保険法による標準報酬日額に相当する金額(労使協定がある場合に限る)のいずれかですが、どの方式にするかはあらかじめ就業規則等で定めておくことが必要です。使用者がその都度恣意的に選択することは許されません。

午前中だけのパート職員(所定労働時間3時間で週5日勤務)の年休は?

 年次有給休暇の権利の発生要件は、①6カ月間の継続勤務をすること。②全労働日の8割以上出勤すること。この要件を満たした場合使用者は継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならないことになっています。

 たとえ1日3時間しか勤務しない職員でも週5日労働しているのであれば通常の職員と同様の日数を付与しなければなりません。(表を参考にしてください)

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

開業医の雇用管理ワンポイント

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