【第01回】賃金の欠勤カット、一般的な方法は
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【第1回】賃金の欠勤カット、一般的な方法は
◇欠勤した場合の賃金カットは問題なし
仕事を休んだ職員に対して、その欠勤した日数分の賃金を給与から控除することは、ノーワーク・ノーペイの原則からしても、法的に問題ありません。
また労基法には、欠勤の場合の賃金カットの計算方法についてとくに規定は設けられていません。ただし、就業規則等において、欠勤した場合でも賃金カットはしない旨の定めがある場合は、カットすることはできません。
◇「全額払いの原則」に違反しないように
注意しなければならないのは、欠勤した場合にカットできる賃金は、文字通りその休業に相当する賃金でなければならず、それを上回る賃金のカットは労基法の「全額払いの原則」に違反します。
◇常に労働者に不利益にならないように配慮すること
多くの企業でみられるのが、割増賃金の計算方法を準用して日額を算出する方法です。
月々の所定労働日数を基礎とせず、年間の所定労働日数をベースに、月給額を1年間における1ヵ月平均所定労働日数で除した額を欠勤1日に対するカットとする方法です。この方法は、常に労働者に不利益とならないから問題はありません。
注意したいのは、年間の所定労働日数から割り出した1ヵ月の平均所定労働日数が21.25日のような場合、実際の1日分の賃金控除額を出すとき、22分の1として計算しても労働者の側からみれば賃金のカット額が少なくてすみますが、21分の1として計算すると、労働者にとって不利益となりますので許されません。平均数値の端数処理については労働者に不利益にならないように注意してください。
少し煩雑になりますが、1年間の平均を取らず、その月の労働日数に応じて計算する方法です。その月の所定労働日数が22日の場合は、欠勤1日に対し、月給額の22分の1をカット、すなわち月給額が22万円の場合は、1万円をカットする方法です。
◇不公正にならないように就業規則等で定めておくこと
賃金の支払方法は、職員から見てわかりやすく納得できるものでなければ、不満が残ります。忙しいことを理由に、あるときはカットし、あるときはカットしないようなことは許されません。就業規則等に欠勤、遅刻、早退したときの賃金の減額方法(割増賃金の計算方法を準用して日額を算出する方法とか、それ以外にも減額の対象となる賃金の範囲を基本給のみにするか、それに○○手当も含めるか等)を明記し、周知しておきたいものです。
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