【第66回】病欠した場合、皆勤手当を削る以外に基本給は減らせるか、月給制です
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【第66回】病欠した場合、皆勤手当を削る以外に基本給は減らせるか、月給制です
◇月給制といっても、完全月給制と日給月給制の2種類があります
正職員は、月給制が一般的です。所定労働日数の多寡に関係なく、1ヵ月いくらと月単位で支払額を決めます。
欠勤があっても、その分を控除せずに定額を支払うものを、完全月給制と呼びます。これに対し、欠勤控除ありの仕組みを日給月給制(または月給日給制)といいます。名称は月給制でも、日給的な性格を帯びています。特に、一般職員を対象として日給月給制を取る医院が大部分です。
◇ノーワーク・ノーペイの原則
労働契約で労働すべきと定められている日に、欠勤や遅刻などで労務提供できなかったときは、一般に職員の都合による労働契約の不履行に該当し、労働の対価たる賃金の請求権が発生せず、使用者の支払義務もありません。
ノーワーク・ノーペイの原則により、賃金カットが可能となる範囲は、職員の不就労時間の賃金に限られます。3回遅刻をしたら、1日分の賃金をカットするとか、5分の遅刻を30分としてカットするような医院がときどきありますが、不就労時間以上の賃金カットは認められていませんので注意してください。
ただし、就業規則などで不就労時間の賃金も支払うという特約がある場合は、その定めに従うことになります。
◇労基法では欠勤控除について明確な定めなし
日給月給制の場合、ノーワーク・ノーペイの原則に基づいて、欠勤控除を行います。しかし、労基法では、欠勤控除について明確な計算方法を定めていません。
解釈例規では、「月給について日割計算を行うことは賃金自体の計算に関することである(別段差し支えない)。なお、賃金の控除額は、施行規則第19条(割増賃金の基礎となる賃金の計算)に定める方法によって計算した金額を超えることを得ない」と述べるにとどまります(昭27.5.10基収6054号)。
一般的には、年間を通じた1ヵ月所定労働日数を基準とする会社が多いようです。たとえば、年の所定労働日数が250日なら、1ヵ月平均20.833…日です。欠勤控除の基準となる日数については20.8日にする、丸めて21日にする、あるいは職員に有利なように22日にするなど、さまざまな定め方があります。
◇皆勤手当は機能していますか
この手当を採用している企業は、規模が小さくなるほど、その採用率は高くなっています。医院においても、一人しかいない受付担当職員が遅刻したりするとたちまち患者さんを外で待たせることになる可能性も。
皆勤手当は、職員の出勤を奨励する目的でその勤務成績に応じて支給する手当ですが、子育て中の職員が多い医院では、あまり機能しません。なぜなら遅刻や欠勤が職員本人の理由でなく、子供の看護などの理由が多いからです。職員の出勤を奨励する役割をはたしません。欠勤の場合、1日分控除されるだけでなく、皆勤手当もカットされることになります。一度考えてみてください。
就業規則例(皆勤手当)
- 第○○条 皆勤手当は、当該賃金計算期間における出勤成績により、次の区分により支給する。
- ①無遅刻・無早退・無欠勤の場合:月額10,000円
- 遅刻または早退1回で無欠勤の場合:月額 5,000円
- 欠勤1日または遅刻または早退が2回の場合:支給しない
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