【第59回】「休暇の取りやすさ」重視
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【第59回】「休暇の取りやすさ」重視
○働く側の関心は…
「人を活かす会社」とはどんな会社か。働く社員からみた「人を活かす」企業の条件を聞いたところ、「休暇の取りやすさ」を最も重視していることが分かりました。(図参照※)依然として長時間労働に対する残業時間の短縮などを求める社員が多いのですが、人を活かす会社の条件として「休暇の取りやさ」が最も多くなっていることに、長期雇用を求める院長としては、注目してみる必要があるのではないでしょうか。
- ※「人を活かす会社」調査
- 働きやすさを実現する制度・環境とは何なのか「非常に重視する」と答えた人の構成比
休日とは、労働契約において労働義務のない日と定められている日のことをいいますが、休暇というのは労働義務のある労働日について労働義務の免除を労働者側の申出によって得た日のことを言います。どのような休暇制度をもち、どのように運用されているのか、制度として整備されているが、その取りやすさは等々労働者の関心は高く、定着に大きく影響します。
○法が定めている休暇、休業制度
- 年次有給休暇(週休日等とは別に、一定の日数の賃金を保障された休暇を付与することによって、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的とする)
- 産前産後休業〔母子保護のため、出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間(うち強制休業6週間)の産休〕
- 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合には、その者を生理日に就業させてはならない)
- 育児休業(育児のために休業を希望する労働者であって、原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者)
- 介護休業(要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者)など
休暇を取得した期間の賃金の支払いを義務づけているのは年次有給休暇のみで、それ以外の休暇の賃金支給の有無は、就業規則の定めによります。きちんと整備しておきたいものです。
年次有給休暇はどの職員も一定の要件を満たせば対象となります。管理台帳は整備されているのか、実態として請求が難しい状態になっていないか、職員の不満はないか、さらに積極的に医院の雇用管理に生かす方向で検討、具体化しているかチェックしてみてください。
○小規模医院でも定めておきたい慶弔休暇規定
職員本人が結婚するとき、父母、配偶者及びその父母の喪に服するときなど院長としてどうするか迷った経験はありませんか?
法の定めはないが、必ず発生することなので最小限のことはルール化しておきたいものです。就業規則のない医院でも、その部分だけは定めておきたいものです。
〈慶弔休暇規定の参考例〉
正職員のみ次のいずれかに該当するときは、それぞれの期間の慶弔休暇を与えることができる。慶弔休暇は無給とする。ただし、①②は付与した日数のうち2日を有給とし、③は付与した日数のうち1日を有給とする。
- ①本人が結婚するとき
挙式日または入籍日のいずれか早く到来する日から
6カ月以内に5就業日以内 - ②配偶者、子が死亡したとき
死亡の日に近接した連続5就業日以内 - ③父母、配偶者の父母が死亡したとき
死亡の日に近接した連続3就業日以内 - ④祖父母、兄弟姉妹、孫、子の配偶者が死亡したとき
死亡の日に近接した1就業日 - ⑤子が結婚するとき、子が出産するとき
1就業日 - ⑥その他各号に準じ、職員の勤務しない事を相当と認めたとき
必要な期間
開業医の雇用管理ワンポイント
- 2022年7月14日【第84回】年次有給休暇の年5日の時季指定義務(2022年7月)
- 2022年6月29日【第83回】退職金は必ず支給しなければなりませんか(2022年6月)
- 2022年5月10日【第82回】労働基準法は強行規定です(2022年5月)
- 【第81回】短時間職員から厚生年金保険・健康保険に加入したいとの要望:優秀な看護師の定着・確保のために―労使の合意があれば加入可能(2022年4月)
- 2021年10月14日【第80回】均等均衡待遇の法改正~どんな働き方でも納得できる待遇のルール〈後編〉(2021年7月)
- 2021年7月2日【第79回】均等均衡待遇の法改正~どんな働き方でも納得できる待遇のルール〈中編〉(2021年6月)
- 【第78回】均等均衡待遇の法改正~どんな働き方でも納得できる待遇のルール〈前編〉(2021年5月)
- 【第77回】パワーハラスメント、こんなところに(2021年4月)
- 【第76回】パワーハラスメント対策の法制化(2020年7月)
- 2020年5月7日【第65回】パート職員への賞与はどうしたらいいか、支給する必要はあるか
- 【第66回】病欠した場合、皆勤手当を削る以外に基本給は減らせるか、月給制です
- 【第67回】妊娠中の職員から軽易な業務に転換を請求がされたが
- 【第68回】職員の健康診断
- 【第69回】有給休暇年5日取得義務パート職員も対象か
- 【第70回】職員定着のために―年次有給休暇の環境整備をすすめましょう
- 【第71回】職員間(正職員と2名のパート職員)のトラブル その原因と対策は
- 【第72回】自然災害と安全配慮義務
- 【第73回】パート職員の年休5日の義務化と取得促進・定着について
- 【第74回】年休の発生要件である全労働日の8割以上出勤、育休復帰職員は?
- 【第75回】時間単位年休は、義務付けられている年5日の年休取得の対象とならない
- 【第61回】兼業(二重就職)の申出は認めなければいけないか
- 【第62回】「悪い噂」を理由として内定を取り消すことはできるか
- 【第63回】年次有給休暇の取得ルール~制限はどの程度可能か
- 【第64回】65歳まで雇用しなければならないか
- 【第49回】採用前の研修を行った場合、賃金の支払いは必要ですか
- 【第50回】タイムカードは何年間保存しなければならないか
- 【第51回】退職する職員から賃金を請求された場合、規定の支払い日に支払えばよいか
- 【第52回】成果主義賃金制度は必要か
- 【第53回】タイムカードでのトラブル防止
- 【第54回】給与の口座振込手数料は職員の負担にできるか、また振り込み先銀行を指定したいが一方的にできるか
- 【第55回】割増賃金の計算間違っていませんか
- 【第56回】年次有給休暇の分割付与、半日取得後の出勤は
- 【第41回】9月17日の祝日に診療、職員から代わりの休日を請求されているが
- 【第57回】勤務する曜日や勤務時間を変更する場合の留意点は
- 【第42回】賞与の支給額を下げても問題ありませんか
- 【第58回】定着率向上のために休日の設定はどうされていますか
- 【第43回】昇給はしなければならないか
- 【第59回】「休暇の取りやすさ」重視
- 【第44回】大切な院内研修会の日に年休取得を強行
- 【第60回】就業規則は変更できるのですか 同意がなければ変更できませんか
- 【第45回】始末書は強要できるか
- 【第46回】残業手当の定額払はいけないのですか?
- 【第47回】ノーワーク・ノーペイの原則とは
- 【第48回】「年次有給休暇は次年度に繰り越すことはできない」の規則は無効
- 【第33回】期間の定めのない契約を有期労働契約に変更したいが
- 【第34回】個人事業所で職員が5人以上になったときの社会保険適用について
- 【第35回】募集の内容と採用時の労働契約の不一致は許されるか
- 【第36回】昼休みに帰宅して食事をとる職員いるが、途中で事故に遭った場合は
- 【第21回】割増賃金
- 【第37回】採用内定とその取消し
- 【第22回】必ず退職金は支給しなければならないか(前半)
- 【第38回】退職後や休日に年休は請求できるか
- 【第23回】必ず退職金は支給しなければならないか(後半)
- 【第39回】試用期間中の雇用管理のあり方
- 【第24回】労働時間とは
- 【第40回】始業時刻より早く出勤するように指示できるか
- 【第25回】労働時間を適切に管理する責務があります
- 【第26回】変形労働時間制と残業手当
- 【第27回】研修会にも時間外手当は必要ですか
- 【第28回】産前産後休業後に復帰した職員の昇給、賞与について
- 【第29回】改築等で一定期間休診するときの休業手当とは
- 【第30回】賞与支給の時期だが
- 【第31回】時間給のパート職員から月給制への変更を申し出られた
- 【第32回】職員の二重就労、辞めさせることは可能か
- 【第01回】賃金の欠勤カット、一般的な方法は
- 【第17回】休憩時間の長さ
- 【第02回】週3日勤務のパートが1日9時間働いたとき割増賃金は必要か
- 【第18回】健康診断の実施は使用者の履行義務
- 【第3回】使用者には、労働条件の明示義務がありますよ
- 【第19回】賃金の支払い
- 【第4回】週休2日で1日休日労働したときの割増賃金は
- 【第20回】給与の支給日が休日の場合は後日にできるか
- 【第05回】給与計算の過不足と過払いの調整方法
- 【第06回】「頑張ってよかった」と思える賞与支給を
- 【第07回】通勤
- 【第08回】遅刻3回で1日分の賃金をカットできるか
- 【第09回】休憩時間の電話当番を強制できるか
- 【第10回】パートでも雇用保険に加入する義務があるのか
- 【第11回】離職理由を「解雇にしてほしい」と言ってきたが
- 【第12回】年次有給休暇を買上げてもよいか
- 【第13回】年次有給休暇を半日単位で与えられるか
- 【第14回】パートの年次有給休暇
- 【第15回】年次有給休暇①
- 【第16回】年次有給休暇②
さらに過去の記事を表示