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【第50回】タイムカードは何年間保存しなければならないか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第50回】タイムカードは何年間保存しなければならないか

◇保存が必要な書類は

 労基法では、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。」(第109条)と規定しています。

 労働者の権利関係、労働関係に関する紛争を解決するため及び監督上の必要から、その証拠を保存する意味で定めたものです。

 保存の目的から、保存期間は長いほど便利であるが、使用者の負担をもあわせて考えて、一律に3年間の保存義務としたものです。

  • 雇入については―労働条件通知書
  • 解雇については―解雇通知書
  • その他労働関係に関する重要な書類とは―タイムカード、労使協定の協定書、各種許認可書など

◇重要な書類には労働時間の記録に関するものも該当します

 労基法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有しています。

 重要な書類には、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類も該当しますが、これについては、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書などが該当します。

◇保存期間である3年の起算日は、書類によって異なります

 次のように定められています。

労働関係に関する書類 起算日
労働者名簿 死亡・退職・解雇の日
賃金台帳 最後に記入した日
雇入れ、退職に関する書類 退職・死亡の日
災害補償に関する書類 補償の終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類 その完結の日

◇その他の法令による保存義務

○労働安全衛生法関係―安全衛生委員会議事録は3年間、健康診断個人票は5年間
○労働保険徴収関係―3年間
○雇用保険に関する書類―被保険者に関する書類は4年間、その他の関係書類は2年間、60歳到達時賃金月額証明書の事業主控えは7年間
○健康保険、厚生年金に関する書類12年間

◇最後に

 数年後、数ヶ月後に退職した職員から請求されることも

 「消えた年金」「消された年金」問題や「ねんきん定期便」による年金記録の通知、雇用保険被保険者離職証明書などのこともあり、給与明細を保存する職員も多くなっています。

 使用者として大変ですがこれらの書類の保存はもちろん、その内容が問題にされないように、日常の労務管理は法令順守でいきましょう。

開業医の雇用管理ワンポイント

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