【第47回】ノーワーク・ノーペイの原則とは
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【第47回】ノーワーク・ノーペイの原則とは
◇不就労分は賃金支払い義務がありません
労働契約は、労務を提供し、賃金を支払うという有償、双務契約ですので、職員の労務の提供がない場合は、使用者は賃金を支払う義務はありません。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。
労働契約で労働すべきと定められている日に、欠勤や遅刻などで労務提供できなかったときは、一般に職員の都合による労働契約の不履行に該当し、労働の対価たる賃金の請求権が発生せず、使用者の支払義務もありません。
ただし、就業規則などで不就労時間の賃金を支払うという特約がある場合は、その定めに従うことになります。
◇賃金カットの範囲は
ノーワーク・ノーペイの原則により、賃金カットが可能となる範囲は、職員の不就労時間の賃金に限られます。
3回遅刻をしたら、1日分の賃金をカットするとか、5分の遅刻を30分としてカットするような医院がときどきありますが、賃金は原則として、全額を支払わなければならないという労基法第24条「賃金の全額払いの原則」に反することになります。不就労時間以上の賃金カットは認められていませんので注意してください。
ただし、このような場合であっても、就業規則などに減給の制裁規定を定めてある場合には、減給の制裁として、このような賃金カットを行うことを認められるケースもありますが、労基法91条で次のように制限されています。
(制裁規定の制限)
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
たとえば、平均賃金が1万円、当該賃金支払期の賃金総額が20万円の場合、制裁事案1件であれば5000円まで、4件であれば2万円まで減給することができますが、5件以上ある場合でも、賃金総額の10分の1である2万円が限度となります。
◇賃金カットの計算方法は就業規則などの定めが必要です
労基法上は、欠勤や遅刻などの場合における賃金カットの計算方法について、特に規定はありませんので、就業規則などにその計算方法を定めておくことが必要になります。
◇遅刻者に残業してもらった場合は
例えば、30分遅刻した職員に30分残業してもらった場合は、遅刻なし、残業なしの場合と実労働時間が同じになりますから、遅刻による賃金カットはしないかわりに、残業手当も支払う義務はありません。
◇ノーワーク・ノーペイの原則に対する例外として
労基法第26条では、使用者の責めに帰すべき事由によって休業した場合には、使用者は休業期間中、労働者に平均賃金の100分の60以上の手当(休業手当)を支払わなければならないとしています。
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