【第32回】職員の二重就労、辞めさせることは可能か
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【第32回】職員の二重就労、辞めさせることは可能か
当院の正職員が、夜間の仕事に従事していることを知りました。辞めさせたいのですが、なにか問題がありますか。
◇できるケースとできないケース
労働契約上義務付けられている時間以外の時間をどのように使用するかは、労働者の自由です。基本的には、使用者の労働契約上の権限がおよばない時間帯なのです。
しかし、自由な時間帯における行為が原因となって、労務に特別の支障をきたすとか、医院の職場秩序に大きな影響を与える場合は問題にすることができます。
◇就業規則で「許可なく他の会社等の業務に従事する」ことを禁止する規程は問題ないか
二重就職を許可制にしている例が多いようですが、労働契約上義務付けられている時間以外の労働者の行動が原因で、医院の秩序を乱し、あるいは十分な労働の提供を受けることができなくなることをあらかじめ防止するためのもので、問題はないでしょう。
◇面接、採用時における留意点
「黙って夜のバイトをしていた、懲戒解雇したいが」との質問を受けることがありますが、採用時にそのことを周知することなく、いきなり懲戒処分することは妥当なものとは言えないでしょう。労務提供に支障をきたすほどの長時間の二重就職や、競業医院であるなど、その影響や支障の程度によりますが、採用時によく就業規則等で徹底しておくことです。
◇シフト表で所定労働日、労働時間を管理する場合は、その障害にならないように
午前中だけの短時間や特定した曜日だけの就業を希望している職員は、他の会社等ですでに勤務しているとか、最近の雇用調整で労働時間の短縮を余儀なくされ、やむを得ず生活保障のために応募してきている場合があります。また新規の募集で採用した職員の就業時間が短時間である場合は、今後他社で勤務する可能性があります。このようなケースでよく起きるのが、シフト表でのトラブルです。たとえ二重就職がお互いに短時間であっても、月または週のシフト表で所定労働日や時間を管理している場合は、どちらを優先するのか、他社におけるシフトはほぼ固定なのか等々確認しておくことが重要です。
◇長時間労働の放置による安全配慮義務違反による損害賠償が生じる可能性も
なによりも使用者として気をつけたいことは、正規職員として1日8時間、そして夜の仕事で5時間勤務している状況を知りながら放置していて過労のために倒れたときのような場合です。責任が問われる可能性がないとはいえません。具体的に勤務状況を把握し、その改善を促す手段を講じるよう話し合うことが必要でしょう。
なお、時間外労働による割増賃金は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定められており、時間的に後になった事業場が負担することになります。
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