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【第30回】賞与支給の時期だが

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第30回】賞与支給の時期だが

◇賞与は支給しなければならないか

 賞与制度を設けることは、労働基準法(以下「労基法」という)その他の法律によって義務づけられているものではありません。しかし就業規則や労働条件通知書等で支給を約束したのであれば、経営が苦しいからといって、支給しないことは許されません。

◇経営を反映した支給額にしたいが

 現状では、昇給額の幅(場合によって現状維持)や賞与支給は、職員の勤務成績や医院での役割を反映させるとともに弾力的に運用することによって、経営状況にともなう人件費負担を調整できるようにしておきたいものです。そのためには、労働条件通知書等で、以下のように定めておく事が前提になります。

参考例
①賞与は毎年○月○日と○月○日に支給する。
②賞与は、その月の初日に在籍している職員を対象とする。ただし、採用6ヶ月未満の職員は除く。
③医院の業績の著しい低下、その他やむを得ない事由があるときは、支給時期を延期し、または支給しないことがある。
④賞与の額は、医院の業績及び職員の勤務成績などを勘案して個別に定める。

 場合によっては、経営状況が苦しくても、期待を込めた金額を支給することもあります。現状とともに将来を考慮して金額を決めることも大切なことです。

◇やる気を引き出すポイントは

◎この時こそ未来を語る
  経営環境が悪くなっている状況で、抽象的な「厳しさ」でなく、そのことをわかりやすく伝えることは大切です。厳しさのみでは悲観的になるだけです。賞与を支給するときには、仕事の楽しさ、生きがいを大いに語ることが必要だと思います。

◎いいことは、早く伝える
  ほとんどの医院は、この時期(11月10日)に支給額を決めることは可能だと思います。現状維持以上なら支給時期と支給額を早く伝えてください。その後の仕事に反映します。

◎面談で評価、ねぎらい、期待を伝える
  職員は、院長がどのように自分の仕事を評価しているのか、絶えず気にしています。

◇パートタイム労働法の改正に注意

 平成20年4月11日に改正法が施行されています。事業主は、パートタイム職員を雇い入れたときは、速やかに、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付等により明示することが義務付けられています。「雇い入れたとき」とは、初めて雇い入れたときのみならず、労働契約の更新時も含みます。

 パートタイム職員がそれなりの働きをしている医院は多いと思います。仕事の内容にふさわしい処遇を図り、日頃の仕事を正当に評価することです。やる気が違ってきます。

開業医の雇用管理ワンポイント

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