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【第28回】産前産後休業後に復帰した職員の昇給、賞与について

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第28回】産前産後休業後に復帰した職員の昇給、賞与について

 昇給の時期を採用月としています。産前産後休業含めて1年間経過した場合は、継続して就業したものとして昇給しなければならないか? 賞与の支給対象期間に産前産後休業があった場合に、休業したものとして減額してもいいか?

A
 労基法は母子保護のために、出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、出産後8週間(うち強制休業6週間)の産休を定めています。
  本当は以下のことを聞き取りしたうえで、回答したほうが、正確でより適切ですが
①育児・介護休業法に関する質問でなく、産前・産後に限定しての質問と理解していいか。
②産前・産後の休業の日数ですが、産前6週間、産後8週間の計14週間なのか、産後の最短である6週間のみなのか。その間の賃金は、無給・有給どちらか。
③他の休暇や休職(育児・介護や、長期の病欠等々)のとき、昇給、賞与はどのようにしているのか その事との整合性も問われます。

◇就業規則の定めはどうなっていますか

 就業規則に定めがあるならば、その規定によります。他の休暇や休職との整合性も必要です。

◇昇給は

 昇給についてですが、母子保護のための規定に基づく休業ですので、昇給の対象者にすべきだと思います。産前・産後休業が有給なら文句なく他の職員と同じ扱いにすべきです。

◇賞与は

 賞与の減額ですが、これが育児・介護休業で、算定期間を6ヶ月とし、その間に休業を3ヶ月とするなら、按分するのが労使ともに納得できるのではないかと思います。育児・介護休業法は「解雇その他不利益な取扱い」を禁止しています。休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うのは、「不利益な算定」に該当します。

 産前・産後休業の場合は、他の職員と同額支給にすべきと思います。

◇こんなことにも注意してください

 年次有給休暇の権利発生要件は、A.6ヶ月間の継続勤務、B.全労働日の8割以上の出勤ですが、次に掲げる日は、出勤しなくても、出勤したものとして取り扱わなければなりません。
①業務上の傷病による休業期間
②産前産後の休業期間
③育児・介護休業法による育児・介護休業期間
④年次有給休暇を取得した期間

 また遅刻、早退等をした日についても、一部でも勤務した日は出勤した日に含まれます。

開業医の雇用管理ワンポイント

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