【第23回】必ず退職金は支給しなければならないか(後半)
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【第23回】必ず退職金は支給しなければならないか(後半)
退職金制度を設けるのかどうか、使用者として曖昧にしないこと
退職金の起源は,江戸時代の「のれん分け」にあるといわれています。性格については種々の説がありますが、使用者の立場からは①功労報償説、労働者の立場からは②賃金の後払い説、③生活保障説が主張されることが多いようです。
今一度、当院で退職金制度を設ける場合、その役割をよく検討してみる必要があるのではないでしょうか。
①職員の平均的な勤続年数、正職員およびパート職員別に。そして使用者として今後もっと長期勤務を望むのか。現実はどうなのか。
②対象となる職員および今後採用する職員の平均年齢。医院は継承するのか、継承を考えておられるのなら、支給時期の多くは、次の継承者のときになるのか、使用者は現在何歳なのか。
作成している退職金規定をみると、自分では、仕事をする期間があと10年長くても20年といいながら、勤続30年以上の支給率表を作成しており、よく冗談で「先生何歳までお仕事されるのですか」と質問することがあります。
③優秀な職員の確保やその定着、円滑な退職等にどのように有効なのか。
設ける場合は、労基法が定める規定を厳守して、職員にもよく周知、理解を求めておくことが大切です。日常の雇用管理にも反映させるようにしましょう。
設ける場合のポイントは
(1)無理のないように
退職金規定はかなり長期の運用となります。時々の経営状況等で恣意的に変更できるものでありません、とくに変更の多くは、労働者からみると不利益変更となることが多くあり、一方的にできませんので、慎重に検討するようにしましょう。
(2)月例賃金、賞与とのバランスを
支給額をどの程度にするか世間相場を参考にすることになりますが、働く職員の側からみると、求人票の賃金の欄でみる順番は、月例給与、昨年実績の賞与そして退職金ではないでしょうか。当院での年間人件費の総枠を基に、どのようなバランスにするのか、総額でしっかり検討してください。
(3)退職金規定を作成するときに明確にしておくこと
①支給対象者を明確に
勤続年数0年以上の正職員とか、パート職員の場合でも、週20時間以上勤務する者は対象とするなど明確に定める。
②退職理由によって区別
医院都合なのか、自己都合なのか、その事由の内容明記と支給率の差、懲戒処分を受けたときの減額率など。
③特別加算
在職中とくに功労のあった退職者に対して特別功労金を付加するなどの配慮も。
④どれに連動させるのか
「退職金の計算を行う場合の基礎となる額は、退職時の基本給とする」の規定を設けている場合で、なおかつ毎年の昇給を基本給で行ってきた医院で、計算してみてびっくり、こんな高額支給できないとの相談をよく受けます。 採用時15万円でも退職時25万円になっていたような場合です。基本給に連動させるなら、昇給はどのようにするのかもよく検討する必要があります。
また支給率を勤続年数に応じてアップする場合で、30年以上連続アップしていく方式を導入している規定がありますが、小規模の医院規定としては、あまりにも乖離しているのではないでしょうか。
⑤原資の確保
どのようにして原資を確保しておくのかも曖昧にしないようにしましょう。
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