【第22回】必ず退職金は支給しなければならないか(前半)
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【第22回】必ず退職金は支給しなければならないか(前半)
退職金は、①高額であること、②退職しないと請求権が発生しないこと、③少人数の医院ではたまにしか発生しないこと、④正職員からパートまで雇用形態がまちまちなどから、その支給をめぐってとかくトラブルが生じやすい状況にあります。
退職金制度を定めるか否かは医院の自由
退職金について、法律上明確な定義づけはありません。使用者に退職金を支払う義務はありません。ただし、
①退職金の支給が就業規則その他で明白に定められている場合
②一定の支給基準による退職金支給の慣行が成立している場合
は、退職金も賃金にあたることになり、支払義務が生じます。重要な労働条件の一つとして保護されるべきものになります。
退職金に関する労基法の定めは
常時10人以上を使用する事業場では就業規則の作成・届出・周知義務があり、作成・変更の際には労働者代表の意見を聴かなければならないことになっています。
退職手当、すなわち退職金については、相対的必要記載事項にあたり、定めをする場合においては、次の項を就業規則として明確化すべきことが定められています。
①適用される労働者の範囲
②退職手当の決定、計算及び支払の方法
③退職手当の支払の時期
絶対的必要記載事項 | → | 必ず定めなければならない事項 |
相対的必要記載事項 | → | 制度として設ける場合に記載しなければならない事項 |
任意的記載事項 | → | それ以外の事項 |
医院においてよくあるケース
―制度があるのかないのかよくわからない
①メモ程度のものを決めているが、職員に見せたことはない。
②その時の経営状況や退職理由で適当に決めている。基準はない。
③今回が正職員としてはじめての退職者、退職金を出すとは1回も言っていないが、職員はあると思っている。職員の求人票では、退職金制度ありにしたと思うが定かでない。
等々使用者である院長先生も制度があるのかどうか、ある場合でもその支給基準がハッキリしないことが多く、そのことがトラブルをより深刻にすることがあります。
退職金支給の慣行が成立しているか否かの判断ですが、判例では次のようになっているようです。ケースによって異なりますが、参考にしてください。
①一定の基準に従って支給されている場合、退職金規定案が作成されているか。
②多くの退職者に支給した実績がある。
③職員が、退職金制度があると思っている、など。
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