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【第12回】年次有給休暇を買上げてもよいか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第12回】年次有給休暇を買上げてもよいか

年次有給休暇の目的

 労基法は、所定労働日の労働を免除して、職員の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えることを規定しています。その目的からして、金銭の支給によって代替することは本質的にできない性格のものと言えます。

買上げは許されない

 したがって「年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ、ないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である」とされています。

時効によって消滅するものは

 年次有給休暇の権利は、労基法の規定により、2年間で時効によって消滅します。年次有給休暇権は、基準日に発生するもので、基準日から起算して2年間で消滅することになります。また職員が退職する際に残した年次有給休暇というのは、職員が退職してしまえば、権利が消滅してしまいます。

 このような2年間の時効によって消滅するものを2年間経過後に買上げたり、あるいは退職者の年次有給休暇を退職時に買上げたりすることは違法ではありません。

皆勤手当算定の際に欠勤扱いしてもよいか

 年次有給休暇を取得した職員に対して、賃金の減額その他年次有給休暇の取得を抑制するすべての取扱いを禁止しています。具体例として、賞与や皆勤手当の算定に際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤またはこれに準じて取り扱うこと等が不利益な取扱いの例とされています。

*基準日とは…
 雇入れ日から起算して6カ月の勤務が終了した日の翌日が基準日となります。継続勤務の起算日は職員の採用日で、試用期間終了後ではありません。各基準日に年次有給休暇の権利が発生します。

週所定労働日数が5日以上又は週所定労働時間が30時間以上の職員の付与日数

勤続年数 6カ月 1年6カ月 2年6カ月 3年6カ月 4年6カ月 5年6カ月 6年6カ月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

開業医の雇用管理ワンポイント

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