奈良県保険医協会

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「医の倫理」次の世代へ伝えるため、過去の過ちにと向き合い検証を~京都と近畿での取り組みにご協力を

 来年4月、京都大学をおもな会場に「第29回日本医学会総会2015関西」が開催される。
 これにあわせて、近畿の保険医協会や民医連、医学者、関係者らが広く「医の倫理」について議論する気運を高めようと、医学会総会と並行した取り組みなどを企画、開催する実行委員会(「医の倫理―過去・現在・未来―企画実行委員会~日本医学会総会2015関西に向けて」、略称「医の倫理」実行委員会」、代表=垣田さち子・京都府保険医協会理事長)をつくり、準備をすすめている。
 同実行委員会は、「生命そのものを操作、選択できる時代となった今、医学・医療に求めらている倫理的課題は格段に増して」おり、「『医の倫理』が広く社会全体で共有され議論されなければならない時を迎えている」と指摘。だが「残念ながら日本の医学会・医療界において『医の倫理』について然るべき十分な議論が行われた実績はありません」、「医学・医療が陥った過去の過ち」は「原点の問題として捉え、事実を検証し、深く学び合うことから始めねばなりません」、「間違いを再び繰り返さぬよう、次の世代に正しく真実を伝えていくことが大切」と述べ、「日本の医学会・医療界としてこの問題に前向きに取り組んでいくために、できることを考え行動しよう」と設立の趣旨を表明している。
 戦時中の生体実験、化学兵器開発、繰り返し生じた薬害、今日のiPS細胞、出生前検診、DNA解析。ディオバンやJ-ANDIのデータ改竄…。「医の倫理」は最先端の医学から日々の診療に至るまで、常に私たちの眼前にある、過去から未来へとつながる課題である。
 具体的な取り組みとしては、医学会総会の開催と同時期の2015年4月に、国際講演会「70年間の沈黙を破って―ドイツ精神医学界における謝罪」(フランク・シュナイダー/ドイツ精神医学精神神経療法神経学会元会長)、シンポジウム「歴史をふまえた日本の医の倫理の課題」、同年3月と4月に「戦争と医の倫理」パネル展示(いずれも京都市にて)が予定されているほか、それまでに京都をはじめ大阪・兵庫・奈良など近畿一円で、連動したプレ企画も準備中である。
 当会も趣旨に賛同し、1月の結成時から実行委員会に参加して活動の一端を担って推進している。呼びかけに応えて実行委員会には、医師、医学者、関係者ら40名が参加、その他にも地区医師会会長や弁護士、宗教者、関連研究者ら約20名が賛同者となっている。現在も実行委員、賛同者は引き続き受け付けられている。
 近く企画紹介のポスターが完成する。会員各位にも、これを機会に共に考えることと、これら企画への参加と、協力を呼びかける。

【奈良保険医新聞第381号(2014年6月10日発行)より】


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