奈良県保険医協会

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第25回参議院選挙の結果を受けて

 自公が改選議席数の過半数を占め安倍政権が信任された、と多くのメディアは伝えている。安倍総理は選挙後の会見で早速「国民の皆様はちゃんと改憲の議論をせよということだ、と思う」と述べた。自公過半数の内訳は、自民が改選議席9減の57議席、公明が3増の14議席、計71議席である。9議席減らした自民党を国民が支持したといえるだろうか。特に全国32の一人区では10地区で野党統一候補に敗れた。野党共闘が進めば決して与党が安泰であるとは言えないだろう。

 また特筆すべきは今回の低投票率である。48.8%という戦後2番目の低投票率となった。「争点なき選挙」というメディアの論調に興味を無くした、目の前の生活に手一杯で政治への無関心、メディアの結果予測に白けてしまう、等々原因はいろいろと指摘されてはいる。特に若者の低投票率が顕著である。18、19歳の投票率が31%。前2回の国政選挙の47%、40%に比し急激な落ち込み方である。まさにこれからの時代を担う若者の選挙離れは民主主義の危機といえよう。この状況を変える妙案はないが、投票で国の政策、自身の生活、未来が変えられるという民主主義の理念を粘り強く訴え続けるしかない。

 今回の選挙では女性の進出も目立った。合わせて28人の女性議員が誕生した。特に東京、神奈川、大阪では定数の半分を女性が占めた。女性の活躍が求められている今、女性議員の誕生は大いに勇気づけられる。

 また山本太郎氏率いる「れいわ新選組」の躍進にも注目したい。泡沫政党という声にもかかわらず比例区で2名の当選、そして山本氏は落選議員としては過去最多の99万票を獲得した。既存メディアが選挙運動を伝えない中、多くの国民の支持を集めた。今後の党の伸長を注視したい。

 奈良県では自民党の堀井巌氏が野党統一候補の西田一美氏を破って当選した。協会では公示前、各候補に医療福祉分野に関するアンケート調査をした。残念ながら堀井氏から返答は無く、氏の政策を会員に伝えることが叶わなかった。氏には医療福祉分野をはじめ協会の主張を訴え、政策実現に助力していただくよう期待する。

 6月に示された「骨太方針2019」では社会保障については「骨太方針2020において社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる」と記載されている。要するに選挙が終わった後に、さらなる社会保障の削減と負担増を取りまとめ、それを着実に実施していくということだ。協会では消費税の増税反対と共に患者負担減と社会保障の充実を求めて更なる運動を繰り広げていく。

【奈良保険医新聞第444号(2019年9月15日発行)より】

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