奈良県保険医協会

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参議院選挙に向けてー医療と暮らし、平和問題など争点に、議論を尽くそう

 6月22日公示、7月10日投開票で第26回参議院選挙が予定されている。岸田首相は、参議院選挙を視野に入れて、日本経済の行き詰まりを打開するなどとして、「新しい資本主義」を打ち出した。しかし、社会保障費の削減、大企業や富裕層の優遇、「成長なくして分配なし」という、これまでの路線を踏襲した上で、憲法改正実現本部を設置、敵基地攻撃能力の検討を表明するなど、命と平和をも脅かす方向に舵を切っている。

 こうした政治姿勢は、2022年度政府予算からも明らかである。一般会計歳出では社会保障費の自然増分6,600億円を2,200億円も削減する一方、防衛費は583億円増。国民生活では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から2年が経過したが、「自助」が執ように強要される中で、格差と貧困がいっそう拡大し、個人の尊厳が侵害される事態が多数発生している。公衆衛生や医療提供体制の脆さや社会的弱者への支援の貧弱さが浮き彫りになり、自己責任ではいのちと健康、暮らしが守れないことが、誰の目にも明らかになった。にもかかわらず、社会保障やくらしをさらに切り捨てる政治がいまなおすすめられている。 高齢者自己負担2割化が成立してしまった。年金暮らしで日々の暮らしも大変な高齢者には大きな痛手となる。

 また今年2月、ロシアが隣国ウクライナへの侵略を開始した。国連憲章や国際法を踏みにじるものであり、いかなる理由であれ、許されるものではない。プーチン大統領は、米・欧の対応を理由に「核抑止力部隊を厳戒体制に移行させる」などと発信し、「核による威嚇」を強めていることは到底看過できない。

 日本国内では、この機に乗じて憲法9条の「改正」を進めようという動きも出てきている。日本の平和のためにも、世界の平和のためにも、平和と民主主義を謳った日本国憲法を守り、生かすことが重要ではなかろうか。

 来月行われる参議院選挙は、これからの日本の医療と社会保障、平和をどう守るかを決める重要な選挙となる。奈良県では自民現職、立憲民主、維新、共産・諸派等6名の予定候補者が報道されている。

 多くの人に関心を持ってもらい、投票に行っていただくことが大切であるが、直近の国政選挙での低投票率化が問題となっている。保団連では「選挙に行こう」キャンペーンと題し、ムービーコンテストなどを行っている。コロナ対策、社会保障、外交問題など問題は山積している。今後の日本の進路を決める大切な国政選挙。ぜひ投票所に足を運び、貴重な一票を投じよう。

【奈良保険医新聞第477号(2022年6月15日発行)より】

主張

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