奈良県保険医協会

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後期高齢者の医療費2割負担化は撤回をー 法案の徹底審議と廃案を求める

 4月8日に衆議院に審議入りした後期高齢者医療費1割から2割へ負担倍増する法案について、採決をめぐる国会審議の攻防が日夜行われている。国民の命・健康に重大な影響を与える法改正となるが、菅政権はわずかな審議日程で採決を急いでいる。

高齢者の生活が益々困難に  そもそも年収200万円以上の75歳以上高齢者の医療費自己負担を2倍化するということだが、年収200万円は決してゆとりある暮らしではない。高齢になると医療費が増え、本人や家族が要介護者である場合も珍しくない。高齢者の医療費はここ数年70歳から74歳までは1割から2割、75歳以上でも一定所得のある場合は3割とどんどん引き上げられてきた実態がある。2割負担導入反対の署名は、累計集約数100万筆を超えた。

当事者からの悲痛な声も  昨年から今年にかけてとりくんだクイズハガキには、2割負担になればいよいよ生活できなくなるという当事者や家族からの悲痛な声が多数寄せられた。また、このコロナ禍の元高齢者の生活を圧迫する自己負担引き上げは行うべきではない。2割負担の導入は、必要な医療から遠ざけられ、経済的にも身体的にも大きなダメージとなりかねない。  菅首相は、「現役世代の負担上昇を抑える」ためと言うが、2割負担導入で「軽減」される現役世代労働者の保険料負担額は年間で1人当たり350円にすぎず、最も削減されるのは年980億円もの公費である。

徹底審議と廃案を求める  保団連・保険医協会は、諸団体と共同し、新型コロナの感染収束が見通せず、受診抑制や生活困窮が続く中、現役世代のわずかな負担軽減のための高齢者負担増法案は何の合理性も正当性もない。これらを主張し、高齢者の生活実態調査なども示し、法案成立阻止を求めてきた。  国会での審議徹底を求めるとともに、法案成立阻止に向け与野党国会議員への要請を行っている。このような高齢者に負担を強いる法案は廃案にすることを強く求めるものである。

【奈良保険医新聞第464号(2021年5月15日発行)より】

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