奈良県保険医協会

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診療報酬改定―保険医の技術料に正当な評価を求める

 4月1日に2年に一度の診療報酬改定が実施された。技術料本体は、プラス0.43%、薬価等(薬価、材料価格)をマイナス1.37%とし、ネット(全体)での改定率はマイナス0.94%となった。5回連続のネットマイナス改定である。

医科改定内容のねらい

 主に開業医に関わる改定内容の特徴として、①外来感染症対策向上加算の新設(コロナ禍における特例取り扱いは廃止)②紹介状なしで受診した場合の受診時定額負担を200症以上の病院に拡大 ③オンライン資格確認システムに関する加算④オンライン診療の緩和⑤リフィル処方箋の導入⑥かかりつけ医機能強化⑦外来データ提出加算が主なものである。

 その根底にある考えは2025年度までに着手すべき「2040年度を展望した医療提供体制の改革」①地域医療構想②医師・医療従事者の働き方改革③医師偏在対策であり、医療費の削減と診療所の医療体制監視である。

地域医療構想とかかりつけ医

 地域医療構想では、「紹介受診重点医療機関」は一般病床200床以上の病院に拡大され、そこに紹介状なしで受診した場合の定額負担(初診時2000円、再診時500円以上)を取れるようにした。将来は専門領域のはっきりした診療科を標榜する無床診療所においても「紹介受診重点医療機関」になれるようにして高い診療報酬を「紹介受診重点医療機関」と「かかりつけ医」に限定していずれにもなれない開業医を排除し、医師偏在対策として「自由開業(医療のフリーアクセス)」を崩そうとしている。

 医師の働き方改革として医師の長時間労働を是正するため、病院ならびにベッド数(特に急性期病床)を削減し病院の整理統合を進めている。

歯科改定のねらい

 歯科では、技術料は0.29%のわずかなプラス改定となったが、コロナ禍の中の受診抑制が続く中、感染対策を含めた充分な改定内容とはほど遠い。

 初診料は261点から264点に、再診料は53点から56点に3点ずつ引き上げられたが、歯周基本治療処置(P 基処)の廃止・包括 による財源が原資となっていることを忘れてはならない。口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上などの観点から評価すべき内容も盛り込まれた。

 かかりつけ歯科医機能の評価のあり方は引き続き検討・改善が必要である。そのほかにも、診療の質と量を勘案して濃淡をつけた在宅歯科医療の評価、医療におけるICTの利活用などが盛り込まれて。医科と同じくマイナンバーカードの利用促進をねらう加算については、注意が必要である。

 金パラ(金銀パラジウム合金)の価格改定については一定の改善があったが、この間の世界情勢もあり一層の実質価格との乖離(逆ざや)が進んでいる。早急な対処が必要である。

 日本の技術料は諸外国と比べても極端に低く設定されている。コロナ禍の中、懸命に治療に当たってきた医療従事者への正当な評価を技術料、診療報酬に反映すべきである。

【奈良保険医新聞第475号(2022年4月15日発行)より】

主張

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