奈良県保険医協会

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奈良県保険医協会 第56回定期総会 決議

 奈良県保険医協会は12月19日、第56回定期総会開催し、次の決議を採択しました。

決議

 岸田首相は、安倍・菅政権のもとで賃金下落と社会保障の相次ぐ改悪などのもと格差が拡大し生活困窮の人々が広がるなかで、コロナ禍でさらに厳しい生活を余儀なくされる国民の声に押されて、自民党総裁選とつづく総選挙では、従来の新自由主義的な政策路線修正の期待を集めるべく「新しい資本主義」「分配」を繰り返し強調してきた。

 しかし、総選挙とその後の発言等から、当初の安倍・菅路線の転換トーンは小さくなり「分配」は「成長」の影に押しやられ、所得再分配のうえで期待された金融取引課税も具体化されずに立ち消えになった。岸田政権初の本格審議となった臨時国会に提出した補正予算案は、最優先で取り組むべきコロナ禍での国民生活支援と感染症対策をはじめとした医療提供体制の構築等は不十分なまま、成長戦略と国土強靱化などの名目での大企業向け補助金やインフラ投資、加えて防衛費支出を組み込み、防衛費は初めて当初予算とあわせて年6兆円を超える。さらに9条も含めた改憲に、かつてなく前のめりの姿勢を示している。

 菅政権が今夏、コロナ拡大の懸念のなかで五輪を強行して、感染拡大と在宅療養の大幅増・在宅死が相次ぐ事態を招くに至った重大な責任、安倍政権が安保法制強行とモリ・カケ・サクラの疑惑にまみれて議会制民主主義の形骸化、立憲主義・法治主義を破壊してきた責任も忘れてはならない。

 私たちは国に、社会保障と平和をこそ重視する政策への転換を強く求めるとともに、下記の要求の実現、課題の解決を求め、また活動をすすめていく。

1. 新型コロナウイルス感染症に対する公費での大規模なPCR検査や関係者の休業補償の実施体制の確立、公的病院の病床削減計画の撤回など、感染症拡大予防と感染症患者に対する医療の提供を、国の責務で保障すること。

2. 後期高齢者の「2割負担」化など新たな患者負担増をとりやめ、患者の医療費窓口負担の大幅軽減を。高齢者が安心して医療を受けられる制度をもとめる。

3. 地域医療を守るため、新型コロナウイルスの影響で大幅な減収を余儀なくされたすべての保険医療機関に対して国の責任で減収補填をもとめる。良質な医療提供に不可欠の、診療報酬の大幅引き上げをもとめる。

4. 奈良県の地域医療に混乱を招き崩壊させかねない地域別診療報酬の導入には、断固反対する。

5. 消費税を引き下げ、医療へのゼロ税率の適用をもとめる。

6. 福島原発事故処理に全力をあげ、汚染水処理は住民の理解と合意のもとにすすめること。原発は再稼働も輸出もやめて、ただちに原発ゼロの実現へふみだすとともに、原発に依存しないエネルギー政策の確立を求める。

7. 集団的自衛権行使を含む安保法制の廃止をもとめる。米国に追従しての憲法違反の“戦争する国づくり”に反対する。憲法9条の堅持を求める。

8. 沖縄辺野古への米軍新基地建設はただちに中止し、米軍普天間基地は即時無条件返還を。

9. 核兵器禁止条約を歓迎し、日本政府に同条約への参加をもとめる。早急に署名、批准への手続きをすすめること。

2021年12月19日

奈良県保険医協会 第56回定期総会

主張

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