奈良県保険医協会

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2018年度診療報酬の特徴―地域包括ケア・2025年を見据えた医療機能分化・強化・連携の推進が色濃く

 2018年度の診療報酬改定が実施された。政府が掲げた今改定の基本方針には、活力ある社会を実現するためにも「国民一人一人の予防・健康づくりに関する意識を涵養し、健康寿命の延伸を実現するとともに、世界に冠たる国民皆保険の持続可能性を確保しながら、あらゆる世代の国民一人一人が状態に応じた安心・安全で質が高く効果的、効率的な医療を受けられるようにすることが必要である」との考えが示されている。その実現を真に求めるのであれば、政府が掲げる社会保障費抑制方針と直ちに決別すべきである。毎年2,200億円削減を続けた「小泉構造改革」路線による「医療崩壊」の悲劇を繰り返してはならない。

かかりつけ医の機能評価
 初診に機能強化加算(80点)が新設された。それを算定するためにはかかりつけ医機能を持つ①地域包括加算②地域包括診療料③小児かかりつけ診療料④在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所)のいずれかを満たしていればよいが、最も算定しやすいのは地域包括診療加算2であり、同時に時間外加算2を満たしていれば可能である。
 小児かかりつけ診療所はさらに小児抗菌薬適正使用支援加算(80点)が新設された。在宅時医学総合管理料を算定する支援診以外の診療所に対し、外来患者が訪問診療に移行した際に継続診療加算(216点)が新設された。また包括的支援加算(150点)(新設)が支援診だけでなく、同支援診以外の診療所にも適応が拡大された。かかりつけ歯科医の求めに応じて診療情報を提供した場合に診療情報連携共有料(120点)が新設された。

認知症サポート医と遠隔診療
 認知症サポート医が他の医療機関からの求めに応じて診療情報を提供し助言を行った場合に認知症サポート指導料(450点)が新設された。周産期医療の充実のため妊婦加算(初診、再診)が新設された。診療科を問わず算定可能である。後発医薬品使用体制の見直しで一般名処方加算が倍になった。
 上記以外に遠隔診療の嚆矢としてオンライン診療料(70点)が新設されたが、使用する情報通信機器の基準が定まっておらず推移を見守っていく必要がある。

歯科は施設基準導入で初・再診料増だが
 今次改定では,一定水準を満たす「院内感染防止対策」の実施を前提とした基本診療料(歯科初診料・歯科再診料)を3点引き上げる見直しが行われた。院内感染防止対策を取り上げたこと、基本診療料を引き上げるとした見直しの提起は重要だが、引き上げがわずか3点しかなく、院内感染防止対策を新たな施設基準として設定して、この届出を行わない歯科医療機関の初診料については現行より8点減算、再診料については同4点減算、さらに歯科訪問診療料の注13に規定する歯科訪問診療の所定点数から10点減算する取り扱いとされたことは理不尽であり、断じて容認できない。

【奈良保険医新聞第427号(2018年4月15日発行)より】

主張

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