奈良県保険医協会

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経済政策を前面に与党が勝利、改憲・社会保障政策にいっそうの注視を―参院選を終えて

 参院選の結果、与党は70議席、野党は51議席を獲得した。非改選の議席を合わせるといわゆる改憲勢力が参議院の3分の2を占める事となった。

経済・くらし改善への期待
 「与党の圧勝」「アベノミクスへの信任」などと報道されてはいるが、憲法改正の争点隠し選挙、とも言われた。安倍首相はおもに経済政策を語り、改憲を選挙中に取り上げることはなかった。公明党も同様に改憲は争点ではないと訴えた。格差が広がり厳しい暮らしのなか、経済・くらしの改善への期待がこのような結果になったのではないだろうか。
 選挙結果が民意を正確に表していないという批判もあるが、比例区で自民党が2千万票超を獲得、複数区でほぼ全員当選を果たすなど、多くの支持を得た事も事実である。他方、32の1人区で自民が21、野党統一候補が11でそれぞれ勝利した。前回1人区は自民が圧倒し野党は2議席しか獲得できなかったことを考えると、野党統一候補は巨大与党に対抗し、大いに成果を上げたと言えよう。単純に与党の圧勝とは言えないのではないだろうか。

奈良県では自民・佐藤氏
 1人区の一つ奈良県選挙区では自民の佐藤啓氏が当選した。37歳の元総務官僚である。多くの県民が若さや新鮮さ、あるいはアベノミクスでの経済成長を訴えた主張に共感したのか。
 選挙直前の当会の政見アンケートに同氏は、憲法九条改定に賛成し、TPP、安保法制、医療のゼロ税率、原発再稼働、窓口負担の軽減など、多くの政策で我々とは異なる考えを示した。
 当県選出の参院議員となる佐藤氏には良識の府にふさわしい行動を求め、今後とも粘り強く我々の主張を訴えていきたい。

いよいよ改憲?
 衆院だけでなく参院でも改憲勢力が3分の2を超え、改憲発議が可能な数字となった。安倍首相は選挙後に早速、憲法改正に前向きな姿勢を示した。しかし改憲派でも党派により中身は異なる。それでも政策協議の過程で妥協して自民にすり寄る姿は過去幾度も見てきた不安もある。
 国の在りよう、権力者の勝手な行動を縛るのが憲法である。今まで以上に危機感を持って監視していかなければならない。

医療や社会保障のゆくえ
 今までの自公政権が執ってきた社会保障政策・医療政策も継続されるだろう。病床数削減、窓口負担拡大、医療保険外し、患者申出療養創設、介護保険の給付制限、高齢化に伴う社会保障費自然増の強引な抑制等、あらゆる分野で社会保障は後退している。
 我々は、医師、歯科医師の立場から、安心して暮らせる日本をめざし社会保障・医療保険制度の充実を求めて訴え続ける。
 同時に国民の健康は平和の下でしか守れない事を訴え、憲法の平和主義を守り戦争に反対してきた。この訴えは今まで以上に重い意味を持ち、必要とされるのではないか。
 今こそ平和を願う会員の声を内外に届け、平和と社会保障の国づくりを訴え続けていかねばならないと考える。

【奈良保険医新聞第407号(2016年8月15日発行)より】

主張

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