奈良県保険医協会

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大幅なマイナス改定、医療改善には遠く――診療報酬改定4月1日実施

 今次診療報酬改定は、本体を0.49%引き上げる一方、薬価・材料を1.33%引き下げる。別途の薬価再算定の0.19%と0.28%の引き下げを含めると全体で1.31%のマイナス改定となる。さらに後発品・入院食等6項目で引き下げ等がされる。本体部分は0.49%増だが、医療崩壊からの再建も十分にすすんでいない中、医療現場の環境改善にはほど遠い引き上げ幅と言わざるを得ない。

外来を受診させない―定額負担など外来医療に新たな制限
 外来では大病院で紹介状がない受診等での定額負担が義務化される。かかりつけ評価として、地域包括診療料・加算で常勤医師の配置基準の緩和・認知症患者の算定範囲拡大がされる。小児の一医療機関での常時対応等を評価する小児かかりつけ診療料が新設されるが、小児科医には苛酷な負担である。湿布薬の処方枚数制限、用量等の処方箋等記載、分割調剤拡大など診療所のプライマリケア機能に支障が出かねない。
 後発品について、外来での後発品使用体制の加算導入、一般名処方加算の評価充実がされる一方、後発品の銘柄指定は処方箋の理由記載が求められる。多剤投与管理として退院・外来時の減薬実績が評価される。

在宅医療は複雑化、入院は急性期がより厳しく
 在宅では、在医総管等に「患者の疾患・状態に応じた評価」が導入され、重症患者がより評価される。複雑な算定区分がさらに煩雑化し、事務負担増が懸念される
 入院では、急性期において7対1入院基本料の要件厳格化(重症患者の割合を15%→25%、在宅復帰率75%→80%など)、10対1入院基本料でデータ提出の要件化、障がい者施設等入院基本料での脳卒中患者の報酬削減など患者締め出しが示されている。

歯科、若干のプラスも改善には遠く
 歯科では「かかりつけ歯科医機能」の評価を導入し「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」を設け、施設基準をクリアした診療所に初期う蝕や歯周病治療後の継続的管理を行った場合の点数が新設された。
 医科歯科連携推進の評価などが重視されたことは重要であり、医科歯科連携を一層進めるべきである。歯科では本体改定率0.61%のプラス改定とされ、この間の「保険で良い歯科医療を」運動で要望していた項目が一部反映された部分もあるが、今回の改定率では歯科医療の危機を抜本的に改善する改定にはなり得ない。特に基本診療料(初・再診)の引き上げが強く望まれることを改めて指摘したい。
 当会では会員医療機関への的確な情報提供を中心とした新点数対策を行い、また今後も医療崩壊を食い止めるため運動を続けて行く所存である。

【奈良保険医新聞第402号(2016年3月15日発行)より】


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