奈良県保険医協会

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安保関連法案の強行採決を許さず、廃案に追い込もう―医療人として、日本を戦争する国にしてはいけない

 安全保障関連法案が、7月15日に衆議院で強行採決された。反対の声が官邸前を埋め尽くしていたにもかかわらず数の力で押し切った歴史的暴挙である。
 歴史を紐解くと、日本の安全保障は1945年の敗戦を契機としてそれまでの帝国日本軍による自国防衛から米国軍(GHQ)による他国に依存する防衛に変わった。
 1951年にサンフランシスコ平和条約で日本は名目上独立したが、安全保障に関しては日米安保条約(旧安保条約)と行政協定(現在は地位協定)により、日本全国に米軍基地が置かれることを条件に、米国に日本の防衛をしてもらった。1954年に自衛隊ができ、1960年の安保改定により10年経てば日本が望めば安保条約を破棄できる条文をいれたが、その後、安保条約は継続して現在に至っている。日本は安保条約を改定して日本にある米軍基地を無くしても、自国の防衛は自衛隊だけで十分である。
 しかし、現実の状況は如何なものであろうか。憲法解釈を変更してまで自国を守るだけの自衛隊を海外に派遣しようとしている。日本に米軍基地を置いたまま、自国の防衛を米軍に委ねたまま、他国の防衛のため米国による世界各地の戦争に自衛隊は軍隊として海外に出動するのである。自衛隊は本来の日本を守る義務を放棄して、米国の軍事力の一部になろうとしている。戦後70年間、自衛隊ができて61年間日本は戦争をしない国であった。「安全保障関連法案」の成立を許す訳にはいかない。
 私たちは、人々の生命と健康を守る医師・歯科医師として、開業医宣言(保団連、1989年)にうたう「人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する」との精神から、日本がふたたび戦争をおこなう国になることへつながるこのような法律の制定に断固として反対である。参議院での採決を許さず、廃案に追い込むまで運動を続ける決意である。

【奈良保険医新聞第395号(2015年8月15日発行)より】

主張

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