奈良県保険医協会

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現場を無視した乱暴で異常な診療報酬改定―強く抗議し、診療報酬の改善を求める

 今回の診療報酬改定は、患者さんや医療現場の声、実態とかけ離れた改定だ。そして、地域の第一線医療をになう診療所を直撃するマイナス改定となった。

医科診療所
初再診料引き下げ

 医療の質を維持し、内容を規定し、安心、安全の医療水準を左右するのが診療報酬だ。しかし、医科診療所での基礎的技術料である初診料・再診料が引き下げられた。
 初診料の病診格差を解消するとして、診療所は引き下げ。再診料は病院・診療所で引き下げられた。初診料が引き下げられた歴史はなく、診療所の医師の技術をないがしろにする保険診療始まって以来の最悪の改定である。
 在宅医療では24時間対応型の「在宅療養支援診療所」の新設が含まれ、新たな政策誘導が行われた。通常の在宅医療の2倍前後の高い診療報酬である。急性期の在院日数の短縮、療養病床の削減で、重症度の高い入院患者さんが病院から追い出される。在宅看取り率の引き上げで医療費の抑制を図ろうとする強引な方法である。私たち開業医が長年、介護者や患者さんと営んできた在宅医療を無視した一方的な改定である。こんな乱暴な方法ではなく、地域全体で安心、安全の在宅医療を充実する観点で・ 室造鮨泙襪戮④澄・br> 「予防の重視」の一環で生活習慣病管理料の中身が大きく変更された。運動習慣の徹底と食生活の改善で、病状に関係なく療養管理ができるような取り扱いである。病状による服薬が軽視され重症度の高い生活習慣病や合併症は継続療養上評価が無視されている。ニコチン依存症管理料は新設されたが代替薬の保険適応はなく複数回の禁煙挑戦も適応外で混合診療の新たな分野の拡大になる。リハビリ再編の影響も甚大だ。

歯科はか初診廃止
低点数+膨大な記載

 歯科では、か初診・か再診は廃止されたが、初再診は従来の低点数のままである。か初診の財源にされ包括された義歯関連点数は復活しなかった。一方、補管は大幅に引き下げられた。指導管理等には異常な文書提供とカルテ記載が算定要件とされ、レセ摘要記載も含め、全般に記載事項が大幅に増えた。
 技術料1.5%引き下げと言うが、実際はそれ以上のマイナスになる。今でも苦しい歯科医院の経営が今後いっそう苦しくなり、今まで通りの歯科医療を提供し続けることがさらに困難になるだろう。
まさに日本の歯科医療制度の崩壊につながる点数改定と言わざるを得ない。

不正確な通知
現場の 混乱に拍車

 現場の実情を無視し、すべての保険医療機関に「医療費の内容のわかる領収証」の発行が義務づけられた。施設基準や算定要件等の取扱いの変更が多岐にわたるのに、厚労省は不正確な通知と訂正で、
混乱に拍車をかけている。内容も方法もまったく乱暴で異常な改定である。
 当会として今次改定に強く抗議するとともに、今後ともねばり強く診療報酬の改善に向け運動を進めていく。

【奈良保険医新聞第286号(2006年4月10日発行)より】

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