奈良県保険医協会

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「高齢者の栄養摂取~より良く食べるはより良く生きる」第17回奈良県保健医療福祉研究集会を開催しました(11月28日)

 「高齢者の栄養摂取~より良く食べるはより良く生きる」をテーマに、奈良県保険医協会は11月28日に奈良市内で第17回奈良県保健医療福祉研究集会を開催しました。医師・歯科医師のほか栄養士や歯科衛生士、介護施設職員、老人クラブ関係者など60人あまりが参加しました。
 ご参加、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

 研究集会集会では、保険医協会がおこなった「高齢者の栄養摂取」に関する実態調査の報告や、福尾惠介・武庫川女子大学教授(生活環境学部食物栄養学科・医師)による特別講演、関係職種によるシンポジウムがおこなわれました。

 調査報告では、県内の老人クラブ会員、介護老人保健施設や介護福祉施設の入所者、在宅の訪問介護利用者の三者に分けて、それぞれ栄養摂取についてアンケートをした結果の概要が紹介されました。報告では「食事をきちんと摂れていない理由」として「歯が悪い」・「入れ歯が合わない」などがあげられ、高齢者の歯科的な問題が小さくないことなどが指摘されました。

 福尾武庫川女子大学教授による講演は「老化機構と高齢者の栄養学的特徴」をテーマに講演し、高齢者が自立し、社会参加していく上での高齢者の栄養摂取に関する問題点を掲げ、加齢に伴う体組成の変化、生活習慣病との関連性、低栄養と病気の関連性などを述べました。また自身がセンター長を務める高齢者栄養科学研究センターの活動も紹介し、高齢者も生き甲斐を持つことが健康において大事であると指摘しました。

 シンポジウムでは、山田懇(夕陽ヶ丘診療所・内科医師)、三ツ橋健二(吉田病院・言語聴覚士)、安宅敬子(老人保健施設「悠々の郷」・管理栄養士)、重永和代(岡谷会ホームヘルプステーション・ヘルパー)らがパネル報告。
 山田氏は、嚥下能力の低下で口から栄養が摂れない高齢者への対応などを報告、「飲み込む訓練をしながら少しでも口から栄養を摂り、腸で吸収することが大切」と述べました。
 三ツ橋氏は、高齢者の死因に多い肺炎の、その原因が誤嚥である割合が少なくないと紹介。「食べることは栄養を摂るだけではなく、食べる楽しみ、一緒にたべることでのコミュニケーション、生活のリズムがある。だから口から栄養を摂ることは大切」と強調しました。
 安宅氏は、高齢者施設の食事の種類や食事の形態を紹介し「病気や障害があっても安全でおいしく食べられ、離床をすすめて自力摂取を促し、残存機能を生かしたい。食事は生きること、楽しみである」と思いを述べました。
 重永氏は、利用者に食事を調理したり、食事の介助をすることがあるが、なかなか食べてもらえないことも多いと述べ、「利用者との信頼関係を築き、徐々に理解してもらう。そして本人と相談しながら本人の考え方・意志をできるだけ尊重して一人一人に合わせたサービスを提供していきたい」と述べました。


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