奈良県保険医協会

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第16回奈良県保健医療福祉研究集会を開催しました-医療と介護の専門職が意見を交流-

奈良県保険医協会は11月16日(日)、第16回奈良県保健医療福祉研究集会「健康で幸せな老後のために―医療・介護の現場から見えてくるもの」を奈良市内で開催し、会員や医療福祉関係者ら64人が参加しました。
 鹿児島大学法科大学院教授の伊藤周平氏が、「介護保険と後期高齢者医療制度の課題とゆくえ―医療・介護難民を出さないために」と題して講演しました。伊藤氏は、介護保険制度の問題点として、理念通りの介護を行おうとすればするほど、介護給付費は増大し介護保険料と自己負担は上がる仕組みとなっており、低所得者ほど負担が多く逆進性の強い制度であると述べました。介護給付費をカットするために要介護認定者を軽度化し、新予防給付を導入する目的で2006年4月より改正介護保険法が施行されました。結果、2006年度の介護保険要介護認定者数は前年度より20万人増加しましたが、介護保険サービスを実際に利用した人数は前年度を約10万人下回り、給付費も約6千億円減少しました。
 ホームヘルプサービスの家事援助が、日中独居の場合でも同居家族が居れば認められないという例では、算定が厳しい地域では別の階でも同じマンションに家族が住んでいれば同居と認定されるなど驚くべき事例も報告されました。介護サービスのコムスン、保育サービスのハッピースマイルの破綻にも見られるように、営利型の福祉サービスはどこかで行き詰まると述べました。介護労働者の労働条件の悪化や低賃金などが影響して介護職の専門学校や福祉系の大学で定員割れが起こっているという事態があるが、最近では福祉の仕事に就きたいと希望しても食べていけないからということで保護者の反対にあう実情もあるとのことでした。その他、後期高齢者医療制度や療養病床削減の問題点等についても指摘しました。
 後半のシンポジウムは、「奈良県の医療と介護をめぐる課題」と題して、山添村国民健康保険東山診療所所長・吉本清信氏、市立奈良病院神経内科部長・高橋信行氏、(医)岡谷会ケアプランセンター所長・山口和行氏、(医)松本快生会訪問看護ステーションさわやか所長・牛久倫子氏が施設・職種間の連携や課題等についてそれぞれ報告しました。参加者の感想も、「(伊藤先生が)はっきりと福祉は税で!とおっしゃっていただいて本当に気持ちがすっきりしました。無理なことを毎日やっているんだとつくづく思いました。(40代ソーシャルワーカー)」、「現場で働く方の具体的な問題が聞けてよかった(30代ケアマネジャー)」などいずれも好評でした。

奈良県保険医協会が行った病院、開業医、介護保険事業所対象のアンケート調査結果を発表しました。また、アンケート結果を11月13日に県庁の記者クラブで発表し、奈良新聞と毎日新聞に掲載されました。

関連資料
伊藤周平先生の、講演資料は【資料】(PDF)をご覧ください。
アンケート結果とパネリストの発言概要掲載の奈良保険医新聞の記事は【記事】(PDF)をご覧ください。

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