奈良県保険医協会

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近畿厚生局と懇談、高点数理由の指導の見直しなどを要求/保団連近畿ブロック

 保団連近畿ブロックは12月2日、大阪保険医会館にて近畿厚生局医療指導課と懇談しました。この懇談は、10月22日に提出していた個別指導の改善を求める8項目の要請書(別項)にもとづき開かれました。近畿厚生局から斉藤隆・医療指導課長ら2名が出席、保団連近畿ブロックは、大阪協会(医科)の高本英司理事長をはじめ同協会のほか大阪歯科・京都歯科各協会から役員7名と奈良を含む近畿各協会の事務局もあわせて22名が出席しました。

 冒頭、厚生局側から10月の近畿ブロックによる要請書について、2月にすでに回答済みなのになぜ再び同じ内容のものを出すのかと質問することから始まり、同局は10月の要請書に新たな回答は不要とする態度に終始しました。保団連近畿ブロック側からは、現場で問題があるため要望を出しており、疑問点もあるため「懇談」を求めている状況を強調して、いくつかの質問と再度の要請を行いました。
 厚生局は、言葉では正確には伝わらないので文書による要請があれば、精査して文書にて回答すると述べ、具体的な内容には言及しませんでした。また、近畿厚生局の職員が民間の団体へ講師として招かれている例を挙げて、保険医協会への講師派遣について問うたところ、指導などに関する講演の要請があれば、内容と時間を考慮して派遣することはやぶさかではないとしました。

個別指導の弁護士帯同は拒否できず
 このほか、近畿ブロックから威圧的な雰囲気で指導が行われないように、密室とならない対応を求めたところ、厚生局は関係団体の立会人がいるとし、弁護士の帯同は必要ないとしつつも拒否しない姿勢を示しました。
 なお、厚生局は威圧的に感じるかどうかは受け止める側の問題として、指導現場の実情を理解していない対応のうえ、2年前に東京の歯科医が自殺したことや、この十数年の間に富山など5人が自殺している事実についても「公式に(個別指導による自殺だと)解明されたという話は、承知していない」と開き直る場面もありました。

 高本大阪協会理事長が、集団的個別指導で、特に平均点数の上位8%の選定という問題を取り上げ、「保険医は点数をたくさんになるようにしているのではなく、患者の病気を治したいという思いで治療し、その結果が点数にあらわれる。これで集団的個別指導に呼ばれ、その翌々年、個別指導に呼ばれるというこの選定方法は理不尽であり、選定方法の見直しを求める」と迫りました。

懇談など無意味と言わんばかりの姿勢
 懇談に同席した奈良協会事務局は「保険診療の円滑実施のための個別指導について、その現場の保険医とその団体からの要望なのに、これに積極的に耳を傾けようという姿勢がまったく感じられなかった。冒頭に『なぜ同じことを再び質問、要望するのか質問に来た』と言い、『新たな質問があれば文書で』と繰り返し、懇談など無意味と言わんばかりの姿勢を崩さず唖然とした。言葉はていねいでもこれほどまで穏やかならぬ対応に対して、列席の役員各位が激高されず努めて冷静に、現場の話を聞くよう求めて粘り強く意見を述べられたことが鮮烈でさえあった」と感想を述べています。

 この懇談は、京都歯科協会の働きかけにより山井和則(厚生労働大臣政務官)衆院議員事務所の仲介を得て実現しました。

近畿厚生局管内で実施している個別指導の改善を求める要望(項目のみ抜粋)
  1. 個別指導は行政手続法・行政手続条例に基づき、公正で民主的に行うこと。指導にあたっては、「保険診療の取り扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させる」という指導の目的と趣旨を遵守し、懇切丁寧に行うこと。
  2. 集団的個別指導を中止すること。高点数を理由にした選定方式はやめて、保険診療を理解するための教育的な集団指導とすること。
  3. 個別指導の実施通知は、保険医療機関の日常診療に支障を与えないよう、指導予定日の1カ月以上前に被指導保険医療機関に送付すること。なお、日程の設定についても一方的に決めず、双方の調整により決めること。
  4. 個別指導の指導対象レセプトの指定については実施日の1週間前から10日前には保険医療機関に通知すること。
  5. 個別指導の実施にあたって、指導を受ける保険医療機関にその選定理由と指導目的を予め具体的に示すこと。
  6. 個別指導当日の資料の持参物については、必要最小限のものとすること。
  7. 個別指導は、威圧的な雰囲気のなかで行われないよう、指導者側の参加人数を最小限とすること。
  8. 個別指導後に「自主返還」を強要しないこと。指導結果については当日に文書で交付すること。


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