奈良県保険医協会

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第57回定期総会 決議

 奈良県保険医協会は12月11日、第57回定期総会開催し、次の決議を採択しました。

決議

 医療と社会全体に大きく影を落とすコロナ禍が3年に及ぼうとしている。それは日本の医療・社会保障が、感染症対策にも、困難に直面した国民生活を支える上でも極めて脆弱であることを浮き彫りにして、規制緩和と社会保障の縮小・削減をつづけて格差社会の深化をおしすすめた新自由主義的な政策路線の行き詰まりを示した。

 アベノミクス以降の今日につづく経済政策も大企業・富裕層の優遇の一方で、幅広い国民の暮らしには冷たく、円安・物価高騰に直撃を受ける庶民が望む消費税減税にも背を向ける。

 昨秋、「新しい資本主義」を掲げて「分配」にも言及し、様々な意見を聞く姿勢を強調して従来の政策路線の転換を期待させた岸田内閣は、その看板とは反対に、コロナ対策をはじめ従来の政策路線を踏襲している。75歳以上高齢者の窓口負担2割化を実施、国論を2分して憲法違反の批判もある安倍晋三元首相の国葬を強行、保険証廃止とオンライン資格確認システム導入義務化も強引に推進、後期高齢者保険料の引き上げや介護保険利用者負担増と給付削減の制度改悪案などを次々と繰り出している。他方で、日本を米国と一体で戦争する国に変貌させる、ウクライナ情勢・中国・北朝鮮の動向を口実にした防衛費2倍化の大軍拡と敵基地攻撃能力の保有を政権の方針に据えた。社会保障を削って軍事を拡大する――こんな国づくりは到底容認できない。

 私たちは国に、社会保障と平和をこそ重視する政策への転換を強く求めるとともに、下記の要求の実現、課題の解決を求め、また活動をすすめていく。

1. 保険診療体制の安定的な維持・継続のため、保険証は廃止しないこと。またオンライン保険資格確認システム導入義務化を撤回すること。

2. 公的病院の病床削減計画の撤回など、新型コロナウイルス感染症を含む新興感染症拡大予防と感染症患者に対する医療の提供を、国の責務で保障すること。

3. 後期高齢者「2割負担」実施を凍結し、患者の医療費窓口負担の大幅軽減を。高齢者が安心して医療を受けられる制度をもとめる。

4. 奈良県福祉医療制度(こども・障がい者・ひとり親などの医療費助成)の改善をもとめる。償還制を改めすべて現物給付に。一部負担完全ゼロに。子どもは18歳まで、障がい者は手帳をもつ人すべてにそれぞれ拡大を。所得制限なしに。

5. 地域医療を守るため、新型コロナウイルスの影響で大幅な減収を余儀なくされたすべての保険医療機関に対して国の責任で減収補填をもとめる。物価高騰への対策と、良質な医療提供に不可欠の、診療報酬を大幅引き上げをもとめる。

6. 福島原発事故処理に全力をあげ、汚染水処理は住民の理解と合意のもとにすすめること。原発再稼働・老朽原発の運転延長をやめ、ただちに原発ゼロの実現へふみだすとともに、原発に依存しないエネルギー政策の確立を求める。

7. 集団的自衛権行使を含む安保法制の廃止をもとめる。防衛費2倍化と敵基地攻撃能力保有など憲法違反の“戦争する国づくり”に反対する。憲法9条の堅持を求める。

8. 沖縄辺野古への米軍新基地建設はただちに中止し、米軍普天間基地は即時無条件返還を。

9. ロシアのウクライナ軍事侵略と侵攻継続に強く抗議する。停戦とロシア軍の即時撤退をもとめる。プーチン露大統領の核兵器による威嚇に抗議する。日本政府には核兵器禁止条約への早急な参加をもとめる。

2022年12月11日

奈良県保険医協会 第57回定期総会

見解

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