理事会声明「日本の核武装を想起させる原子力基本法の改悪に抗議する」
奈良県保険医協会は7月19日に開催した定例理事会で、「日本の核武装を想起させる原子力基本法の改悪に抗議する」との声明を採択しました。声明の全文は下記のとおりです。
声明は、野田佳彦首相と民主・自民・公明の3党、奈良県関係の国会議員9氏(馬淵澄夫・滝実・吉川政重・田野瀬良太郎・高市早苗・大西孝典各衆院議員、前田清成・中村哲治・前田武志各参院議員)へ郵送にて送付しました。
奈良県保険医協会
2012年度第8回理事会
いまもつづく原発事故の惨禍を経験し、その反省にも立って原子力規制委員会の設置をめざした「原子力規制委員会設置法」(以下、設置法)が国会で審議され6月20日、成立した。ところが、設置法の附則で「原子力基本法」の目的に「我が国の安全保障に資すること」を追加するという重大な改定があわせておこなわれた。
原子力基本法は、原子力=核エネルギー、放射性物質を扱ううえでの基本法であり、そこにはこれまでも、その研究・利用は「平和目的に鯨
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報道によれば、設置法の当初の政府案に「安全保障」の項はなかったが、民主・自民・公明の3党による修正協議を経て、自民党の主張により加えられて議員立法の形で国会へ提出され、実質4日間のスピード審議で成立したという。到底、議論が尽くされたとは言えず、強行成立である。
私たちは、今回、国民にほとんど知らせることなく、原子力政策の基本を定める法律を、設置法の附則で改定したという手法と、その内容に接して驚きと深い憂慮を禁じ得ない。
「安全保障」という言葉には、日本語でも英語でも「国家の防衛」という意味がある。参議院環境委員会で推進した議員は、「安全保障」は核物質の不正転用を防ぐ国際原子力機関(IAEA)の保障措置などを指す、と説明している。もしそうであるなら「保障措置」と書けばすむことである。それをなぜ「安全保障」としたのか。
原子力発電は、運転の結果プルトニウムをつくり、核兵器の材料を製造するという機能を有している。日本が高い核技術をもち核開発可能な能力を維持することが必要だと
、安全保障面で主張する論調が政治家のなかにもある。「安全保障」の項の追加は、そのような意図に沿ったものと判断せざるを得ない。
日本政府はこれまで核兵器を保有しないと表明してきたが、今般の法改定はいよいよ核兵器の開発・保有への一歩ではないかとの懸念を内外に巻き起こすものである。現に韓国政府が「真意と今後の影響を注視する」とし、同国メディアも強い懸念を表明している。
我が国は唯一の被爆国という歴史をもち、国民は核兵器による痛苦の体験をし、今また福島原発事故の原子力(=核)の惨事にあえいでいる。それを思えば、時代に逆行する法改定と言わざるを得ない。
私たちは、平和を希求する医療人として、核による脅威を根絶したいとの思いである。核に汚されない地球をいまや世界の人々誰もが望んでいる。
私たちは、原子力基本法の目的に追加された、まったく無用の項目追加は、国民をはじめ内外に日本の核武装という悪夢を想起させ、不安をいやおうなく増大させる改悪であり、これに強く抗議する。そして、速やかにその修正が図られるよう願うものである。
見解
- 2022年12月23日第57回定期総会 決議
- 2022年7月29日理事長声明「安倍元首相の国葬に反対する」
- 2022年3月3日【声明】プーチンの暴走とロシアによるウクライナ侵攻に抗議するとともに、ロシア軍の攻撃中止とウクライナからの即時撤退を求める
- 2021年9月24日コロナ特例の診療報酬、9月末での打ち切り表明への抗議と10月以降の継続を求める緊急要請
- 2021年7月26日理事長談話「ヒロシマ・ナガサキ、そしてオリンピック」
- 2021年5月26日「75歳以上の医療費窓口負担2割化」法案、少なくとも今国会での審議・採決はやめて、コロナ対応に集中を
- 2021年2月24日理事会声明「日本政府の核兵器禁止条約への参加は唯一の戦争被爆国としての責務」
- 2020年12月13日第55回定期総会 決議
- 2020年11月14日声明:日本学術会議に対する違法・違憲の人事介入に抗議し、推薦された候補者すべての任命を求める
- 2020年9月18日奈良県へ要望:地域別診療報酬ではなく、すべての保険医療機関に対する給付金等の財政措置を求めます
- 2020年2月4日厚労省公表の公的病院再編・統合「再検証」リストの問題をめぐり、当会など4団体で共同声明
- 2019年12月25日第54回定期総会 決議
- 2019年4月23日健保法等一部改正法案の徹底審議を求めます
- 健保法等一部改正法案の徹底審議を求めます
- 2018年5月17日理事会声明:奈良県の医療の質を低下させ、空洞化、崩壊に導く「地域別診療報酬」―その導入も、検討も、断固として反対する
- 2017年11月21日声明:マイナス改定は容認できません/地域医療を立て直すために診療報酬・介護報酬の大幅な引き上げを求めます
- 2017年6月16日声明:「共謀罪」(「テロ等準備罪」)を新設する組織犯罪処罰法等改正案の採決強行・成立に抗議し、廃止を求める
- 2017年3月22日声明:共謀罪(「テロ等準備罪」)新設に反対します
- 2016年12月23日「高齢者いじめの負担増」の中止を求めます
- 2016年12月3日TPP協定を今国会で批准しないよう求めて、参院特別委員へ緊急のファクス要請―奈良県保険医協会
- 2016年10月25日TPP協定を今国会で批准しないよう求めて、衆院特別委員と地元国会議員へ緊急のファクス要請―奈良県保険医協会
- 2015年9月19日[声明]安全保障関連法案の強行採決、可決・成立に断固として抗議する
- 2015年9月4日参議院議員あて「安全保障関連法案の拙速な採決に反対し、同法案の撤回、廃案を求める」要請―奈良県保険医協会
- 2015年7月16日[声明]衆議院での安全保障関連法案の採決強行に強く抗議し、同法案の撤回、廃案を求める
- 2012年10月5日オスプレイの配備に抗議、撤回求める声明/理事長と反核平和委員長
- 2012年7月20日理事会声明「日本の核武装を想起させる原子力基本法の改悪に抗議する」
- 2012年7月2日理事長声明「消費税増税関連法案と『社会保障制度改革推進法案』の衆議院での採決強行に抗議し、参議院での廃案を要求する」
- 2012年6月8日理事長声明「改めて大飯原発の再稼働に反対する」
- 2012年4月20日理事会声明「大飯原発の『安全宣言』に抗議し、再稼働に反対する」
- 2012年1月20日理事会声明「アメリカの新型核実験に抗議する」
- 理事会声明「診療報酬マイナス改定は回避したが医療再生にはほど遠い改定率―改定率の見直し、引き上げを求める」
- 2011年3月22日福島原発事故に対する声明
- 2011年2月18日医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する
- 2010年10月8日〈声明〉犯罪捜査のプロを指導監査に活用する提案と、その問題点を認識しない厚生労働省に強く抗議する
- 2009年11月30日副財務相の診療報酬引き下げ発言に対し財務省へ抗議文~奈良県保険医協会
- 2009年11月6日厚生労働省の政務三役に、レセオンライン義務化撤回求める要請書を送付/奈良県保険医協会
- 2009年10月19日レセプトオンライン請求義務化に関する請求省令の改正案への意見
- 2008年8月25日集会アピール(後期高齢者医療制度の廃止をもとめる奈良県集会)
- 2006年6月14日国民から医療を遠ざけ、国民皆保険制度を壊し、高齢者に苛烈な負担を強いる医療制度「改革」関連法案の可決・成立に抗議する
- 2006年5月19日国民皆保険制度を崩壊させる医療「改革」法案の強行採決に抗議する
- 2006年1月10日(休載)
- 2005年12月20日診療報酬・介護報酬の大幅引き下げに抗議する
- 2005年11月1日国民皆保険制度の発展と逆行する医療構造改革試案に反対、患者負担軽減・診療報酬改善など求めて中央行動(10月27日)
- 2005年10月4日「制限回数を超える医療行為への混合診療導入」の中止と、診療報酬における、医療上の根拠があいまいな回数制限の廃止を求める緊急要請書
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